
やあ、(百魔の主を書いている)葵です。(@Aoi_Yamato_100)
2020年1月末に上映されたモーターレース映画『フォードvsフェラーリ』。
うなるエンジン音、超高速で流れる景色の中、それぞれの思いを乗せて走るケン・マイルズの表情、熱さと儚さの入り混じるとても良い映画です。
今回はこの『フォードvsフェラーリ』の感想をつらつらと述べたいと思います。
[box class=”box27″ title=”注意”]ちょっとネタバレを含みます。[/box]
エンジン音に体が熱くなる『フォードvsフェラーリ』はぜひ映画館で
とりあえず言いたいことは、この映画はぜひ映画館で(もしくは映画館っぽくして)見てほしいということ。
- モータースポーツの醍醐味であるスピード感
- そのスピードを支えるエンジンの回転音
二つの迫力は大画面で見ることでよりいっそう映えます。
スピードの表現がかなり秀逸
『フォードvsフェラーリ』は、エンジンの回転数7000超の世界をかなり丁寧に描いています。
風を切る車体。
回転数7000を超えて高音に至る瞬間のギアとエンジンの駆動音。
かなり熱い。


特にル・マン24時間耐久レースの一個前に走ったデイトナレースにおける、GT40の最高速シーンは圧巻。
限界を示すメーター針、一段階、そしてまた一段階と上がっていくギアとエンジンの駆動。
フェラーリを抜く瞬間の『一線を越えた』感にゾクゾクっと鳥肌が立ちました。
フォードとフェラーリの関係性以上に、シェルビーとマイルズの関係性に胸が熱くなる
この映画を見る前は、フォードとフェラーリの因縁の戦いに強いスポットライトを当てた映画なのかと思っていました。
しかし、ふたを開けてみれば主人公シェルビーとその相棒であるマイルズとの関係性に光が当たるストーリー。
むしろシェルビーとマイルズは、フォードという大企業の中で、モータースポーツの美学を追求しようもがく。
フォードとフェラーリの対比ではなく、大きな逆境の中でもがき立ち向かう二人の男の物語として、非常に熱がこもる映画でした。
クリスチャン・ベールの演技に吸い込まれる

マッド・デイモン演じるシェルビーもとても良かったですが、それ以上にクリスチャン・ベールが演じるケン・マイルズの表情が非常に良かった。
車に対する熱い思いを持ちながら、現実に打ちのめされて大切な妻子のために一度は道をあきらめた時。
レース中の鬼気迫る表情から一変、最後の最後でシェルビーの立場を汲んだ時の表情。
その強さと熱さと、儚さの灯る表情は、まさしく『これしかない』という色気と感情を載せ、見る人の心を揺さぶります。

ケン・マイルズの持つ感情のすべてを、クリスチャン・ベールがすべて吸い上げて正しく観客に見せてくれた。
そこには得も言われぬ満足感すら感じられました。
これから『フォードvsフェラーリ』を見ようと思う人へ
基本的に『フォードvsフェラーリ』は超おすすめな映画ですが、これから見ようと思っている人へ『ここを気にするといいかな』と思うところを個人的に書いておきます。
言葉で言い表されない絵の感情をくみ取る必要はある
この映画はすべての感情が言葉で表されるわけではありません。
むしろ、言葉にしづらいような絶妙な感情表現を、マッド・デイモンやクリスチャン・ベールがその演技で魅せるという構成です。
そのため、微妙なニュアンスを彼らの表情からくみ取り、解釈する、という作業が必要になります。
そういったぼんやりとしたニュアンスの汲み取りが面倒だ、という人にはちょっと大変な部分もあるかもしれない。
すべての感情がハッキリと言い表されているわけではない、というのは伝えておきます。
心臓がバクバクするので覚悟する
モータースポーツ競技で繰り広げられる、極限のスピードの中での攻防が大きな迫力と共に表現されています。
映画に入り込む人は間違いなくその圧倒的スピード感に心臓がバクバクするので気をつけるように。
実際に事故のシーンもいくつかあるため、ドキドキ・ハラハラ感は半端ないです。
それを含めて体験してぬたいという場合は絶対見た方が良い。
終わり方は一筋縄ではない【微ネタバレ】
みんながハッピーな終わり方ではありません。
フォードvsフェラーリはむしろ見終わったあとに哀愁を抱くような結末です。
バッドエンドでもありませんが、一筋縄ではいかないストーリーなので、『絶対にハッピーエンドじゃなきゃやだ!』という人はそれを踏まえた上で見てね。
まとめ:『フォードvsフェラーリ』は車好き・レース好きにはすこぶるおすすめ
モータースポーツが好きな人には絶対的におすすめです。
レース映画としてもかなり熱く楽しめます。
また、映画的に優れた感情表現が何度も行われるため、そういう観点で映画を楽しみたい人にもぴったり。
これは『映画でこそ見るべき』という映画の特異性がいっぱい詰まった良作なので、時間がある人はぜひ映画館で見てみてください。
