やあ、(海から生まれた)葵です。
youtubeを流し見していたら米津玄師の『海の幽霊』っていうMV(ミュージックビデオ)を見つけて、そのあまりの完成度に感動し、主題歌となっていた『海獣の子供』というアニメ映画を見てきました。
今回はその感想になります。
- これから見ようと思っている人
- DVD出たら見てみようかなって思ってる人
- 原作を知っている人
映画としての『海獣の子供』に興味がある人は参考になるかもしれないのでご覧あれ。
MVの「海の幽霊」がめちゃくちゃ良かった
『海獣の子供』の概要
『海獣の子供』のあらすじなどは公式サイトを見てもらうのが早いので、リンクを貼っておきます。
ちなみに冒頭でもちらっと述べたとおり、海獣の子供は原作マンガがあります。
漫画版のあらすじは下記のとおり。
基本的に映画も原作どおりに物語が進みます。
海にほど近い、とある田舎町の夏休み。中学生の安海琉花はハンドボール部の友人をケガさせてしまい、顧問から「夏休みの間部活へ来なくていい」と言われてしまう。ぽっかりと時間を持て余すことになった琉花は、ふと東京の海を見ようと思い立ち、電車に乗り込むが…。
部活での居場所をなくしてしまった少女・琉花が、夜の海で出会った不思議な少年・海――。港町と水族館を舞台に繰り広げられる、五感をふるわす少年少女海洋冒険譚!!
くわしくは下記で説明しますが、結論から言っておくと、
『海獣の子供』は原作を読んでから映画を見たほうが楽しめるタイプの映画です。
というか、なにも知らない状態で映画を見ると、内容が抽象的すぎて不完全燃焼で終わる可能性があります。
『海獣の子供』は映像の美しさと音の迫力が特徴のアニメ映画
海獣の子供では、底知れない海をテーマに、『鯨の歌』という神秘的な『音』をキーワードにしています。
実際に映画を見た感想としては、海の映像美と体の内側に入る込んでくるような音の迫力がすごかった。
なので、もし上映中に見られなくて、あとでDVDで見るという場合は、
- イヤホン装着
- 音を大きめ
- そして部屋を暗くして
見るのが良い感じ。
映像作品としては十分に見る価値があります。
ただし、
- ストーリーは難解すぎて物語的カタルシスはほとんどない
このあたりについては以下でくわしく説明します。
ストーリーにカタルシスは求めない方が良い
海獣の子供は、映画(映像作品)としては非常にすぐれた技術が詰め込まれた作品です。
映画館で見るとその良さはさらに際立ちます。
しかし、ストーリーはかなり難解で抽象的です。
基本的に上で説明した原作漫画のあらすじどおりストーリーが進みますが、結果として『なにを言いたいのか』が非常にくみ取りづらい映画になっています。
- ストーリーが観念的
- 作中でなにかが解決するというたぐいのものではない
- わかりやすいカタルシスはない
- 見る人には考えさせるタイプの映画
そのため、アニメ映画で感動したい、楽しい気分になりたい、そんな人にはあまりオススメできません。

米津玄師の『海の幽霊』では、あたかも甘酸っぱく、それでいて壮大な少年少女のストーリーが展開されそうな魅せ方をしていますが、実際はそうではないので注意。
もちろん、だからといって価値がないわけではないのですが、ストーリーに謎の解決や正解を求める人には正直合わないと思います。
映像では水や海の持つ根源的な美しさを感じ取れる
映像の観点からお話しすると、海獣の子供では、海の持つ美しさと怖さが見事に表現されていました。
海って昼間はとてもきれいだけど、夜はなんだか怖いですよね。
- あの暗い水の中にはなにがいるんだろう。
- 自分の知らない未知の生物が大口をあけてまっているんじゃないか。
そんな海の怖さのような部分も、見事に表現しきった映画だと思います。
もちろん、ただ怖いだけではなくて、体の芯を揺さぶれるような迫力は、どことなく心地よさも感じさせてくれました。
ぶっちゃけストーリーを抜きにしても、この一連の映像表現を感じるだけでも見る価値はあると思います。
より個人的な感想と考察【人と人との繋がりについて?】
最初に言っておくと、わたしには「これがこの映画の言いたいことだ!」という結論は出せませんでした。
それでも見ている中で考えたのは、
- 命について
- 人と人との繋がりについて
そのあたりがキーワードなのかな、と思います。
全体的に、
- なんとなく言いたいことはわかる
- けど明確な形として答えがわかるわけではない
そんな感じです。
もちろん創作物に「答え」を出す必要は必ずしもないのですが、やっぱりわかりやすさを求める人にはちょっと物足りないかな、というところもあります。

原作で大筋を理解しておいてから、映像で解釈を深化させる感じがベストと思われる。
ちなみにわたしは映画を見たあとに『原作読めばわかるかな』と思って原作を読みました。
それで映画と原作のストーリーラインに大きな違いがないことはわかったのですが、解釈についてはあとから原作を読んだせいでちょっと引っ張られたかな、と感じます。
まとめ:海獣の子供(映画)の総評
個人的に、観念的な純文学とエンタメ小説の間にあるような作品だと感じました。
改めて結論として、
- 映像作品としての技術は高い
- ただしストーリーは難解
- 上記の性質から原作を読んでから見るのがベスト
もちろん原作を読まずに見に行ったわたしが楽しめたので、そのままでも十分楽しめる作品です。
映画を見て考える楽しみみたいなものは味わえるので、そういうのが好きな人にはおすすめ。
見るかどうか悩んでいる方には「ぜひ見てほしい」と改めてお伝えします。