薬屋のひとりごとの面白い所を紹介するよ|薬学×謎解き×染み入る情緒
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やあ、葵です。(@Aoi_Yamato_100)
薬屋のひとりごと、めっちゃおもしろい。
『小説家になろう』の推理ジャンルで圧倒的人気を誇る本作、コミカライズ版が「月刊ビッグガンガン」と「月刊サンデーGX」で連載されているのですが、今回はビッグガンガン版の漫画を読みました。
原作を書いた日向夏先生は同じ『小説家になろう』で連載している作家さんとして以前より勝手に存じ上げていたのですが、いやほんと、もうなんていうか――
『薬屋のひとりごと』を生んでくれてありがとうございます。
日常と非日常(謎解き)、ドキドキと好奇心と、そしてたまに人の情緒にひたりたくなる感情の物語。
舞台は架空のものだけれども、そこにあるリアリティは真に迫るものでした。
追記(2019年9月2日):次に来るマンガ大賞2019で1位になったみたいです!
関連記事:次にくるマンガ大賞2019、コミックス部門1位はねこクラゲ作画「薬屋のひとりごと」(コミック・ナタリー)
※ちなみに2位の「チェンソーマン」についても個別記事で紹介しているので良かったら見てみてね。
関連記事:漫画『チェンソーマン』がシンプルながら超練られてて面白い【感想】
【原作小説(書籍)】
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【原作小説(小説家になろう)】
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薬屋のひとりごと【薬学と謎解きと大人な情緒】
あらすじ
中世の宮中で下働きをする少女・猫猫(マオマオ)。
花街で薬師をやっていた彼女が、帝の御子たちが皆短命であるという噂を聞いてしまったところから、物語は動き始める。
持ち前の好奇心と知識欲に突き動かされ、興味本位でその原因を調べ始める猫猫の運命は――…!?(Amazon紹介文)
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原作小説のほうからあらすじを紹介しようとも思ったんだけど、今回は漫画の感想なのでそっちにしておきました。

『薬屋のひとりごと』の全部を知るには原作小説を読むのが一番だぞ!
すぐに無料で読める「小説家になろう」の連載版も小説としてかなり読みやすいのでおすすめ。
薬屋のひとりごとの魅力
①:物語としてのリアリティの質が超高い
この物語は架空の中世中国に似た国が舞台となっています。
帝がいて、その妃がたくさんいて、いわゆる後宮と呼ばれるものが存在する。
文明レベルは現代と比べると高くはないけれど、医学を行えるものもいるし、料理なんかもかなり洗練されていて、ちょっとしたお菓子を作る技術もある。
そんな、『今』ではないけれど、想像もできるし違和感も覚えない、『本当にこういう世界があったんだ』と信じてしまうような舞台設定が、ちょっとした小道具の描写や、人と人の会話の中などで巧みに行われています。
要するに、すっげえリアリティがあるんですよ。
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なんか気づいたときには物語世界に引き込まれていた。なにを言っているのかわからないかもしれないが、わたしもよくわからない。でもとにかく、引きこまれていたんだ。

落ち着け。
サンデーGX版はこちら
②:キャラクターの書き方が超うまい
誰が、どういう人物であるか、すぐにわかる。
もちろん漫画だし絵があるから当然だろ、と思うかもしれない。
でも違うんだ。
キャラクターの個性が明確で、かつわかりやすいだけじゃない深みもあって、「こういうこと言うのはコイツ」「この物言いはコイツ」「ああこれは壬氏ですねかわいい」ってなるんですよ。
これは絵があるとかないとかの話ではなくて、キャラクターとしての質の話です。
各キャラクターにしっかりとした芯があるから、こうなるんですよ。
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前にちょっと話したけど、キャラクターとしての動機とその背景がしっかりしているからかな。このキャラクターだったらこういうときにこう言うんじゃないかな?というのがかなり早い段階で読者が理解できる。本当にすばらしい。
個人的に一番気に入っているのはやっぱり壬氏(ジンシ)です。
後宮の管理をする宦官のひとり。天女の微笑みとまで称される美貌の男性で、その美貌の威力は男性武官から夜のお誘いがかかるほど。性格はややひねくれているが、むらがる後宮の男女ををさわやかな愛想笑みであしらう程度には世慣れしている。興味のある相手には子どもっぽい執着心を見せる。かわいい。
わたしの作品を知っている人はわかるかもしれませんが、わたしはこういうイケメン中性キャラが大好物です。(壬氏かわいい)
この壬氏というキャラクターもまたしっかりとした個性を持ったキャラクターですが、壬氏に関してはまだ謎に包まれた部分も多く、基本的にイケメンでたまにかわいい最高のキャラなのですが、そこにこの「謎」が影というかミステリアスな部分を落としこんでいて、深みのあるキャラにもなっています。
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あ、壬氏の良さについて話すと超長くなるからこのへんにする。

お、おう。
主人公の猫猫(まおまお)も薬学への好奇心のタガが外れていること以外はとても主人公らしいキャラクターで、いややっぱ毒への好奇心は変態的だけど見ていて楽しいキャラクター。
個人的には、主人公らしいちょっとした正義感を持ちつつも、それなりに厳しい世界観に生きているせいか、冷静な現実感を持ち合わせているところがこのうえなく好きです。
猫猫(マオマオ)がどうしてそういう性格になったのかも、彼女のこれまでの人生を節々で見せることで、ごく自然に、確かなリアリティを持って伝わってくるので、本当にすばらしい作品だな、と思います。
③:文化や文明の表現が緻密
この作品のリアリティを担保しているのは、その文化や文明レベルの描写が緻密で的確だからだと思います。
もちろんそれは本作のメインテーマである薬学部分にも表れていますし、後宮での生活や仕事で使われている道具(木簡など)の描写にも表れています。
わたしは後宮文化やこういう時代背景の文明にくわしいわけではないので、それが歴史とかそういう立場から正しいのかどうかまではわかりませんが、ぶっちゃけそんなのどうでもいいレベルで――
なるほどなぁ!この時代ってこんな感じだったのかぁ!
って納得してしまうほど。
それくらい世界観の設定と描写がしっかりしていて、それが作品に説得力――いわばリアリティを与えているのです。
原作小説(書籍版)
④:生きた人間の感情が描かれる
個人的にはこれが最大の魅力なんじゃないかとも思います。
薬屋のひとりごとで描かれるのは昔の中国っぽい後宮の物語ですが、そこにある人の感情は今でもなお共感を誘うものです。
- 人ってこういうものだよね
- こういう感情、あるよね
そんなふうに人間の描かれ方がとてもリアリティがあって、人の心のきれいな面もきたない面も、まざまざと見せつけられる瞬間があります。
こういう人の心は、いつの時代も変わらない。
そしてだからこそ、人間は美しいし、ときに汚い。
そんなちょっと大人な情感に、触れた気がします。
これこそが、この物語のリアリティをもっとも強く支えている要素なのではないかとわたしは思いました。
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すべてに生々しくなくちゃいけないわけじゃないけど、人間がつむぐ物語なら、人間らしいとされる要素が、どこかにあったほうが輝くのではないでしょうか。

どういう側面の人間らしさを描くかだな。
人間の強さもいいけど、弱さや汚さもまた、魅力のひとつだと思います。
映像で見る『薬屋のひとりごと』の魅力
youtubeにビッグガンガン版『薬屋のひとりごと』のPV映像があったので参考に載せておきます。
『薬屋のひとりごと』の感想まとめ
ここまで作品の輪郭がしっかりしているものはなかなか拝めない
ファンタジーでありつつ、時代モノでもありつつ、ミステリーでもある。
そんな多くの要素を含みながら、ひとつの作品としてしっかりとした輪郭を持つ『薬屋のひとりごと』。
とにもかくにも、物語作品に関するあらゆるバランスが高次元で整った逸品です。
とりあえず最初はとっつきやすい漫画版から読んでみて、おもしろいと感じたらぜひ原作小説を読んでみてください。
余談
ちなみにわたしはイケメン中性キャラが大好きなので壬氏が一番好きですが、女性キャラの中では梨花妃(リファ)が好きです。(帝の妃の一人)

なんとなく理由はわかる。
黒髪・美人・そしてメロン。
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メロンばんざい!!!!
帝ゆるすまじ。
気になる方は漫画版でメロンを拝んでみてね。(いろんな角度から眺められるよ!)
【原作小説(書籍)】
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