『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』見てきたよ。


結論から述べると、
ハリウッド好きは楽しめる。
そんな映画でした。
どんな映画なの?
元ネタは1969年に起こったマンソン・ファミリーによるシャロン・テート殺害事件。
マンソン・ファミリー:wiki/チャールズ・マンソン
シャロン・テート:wiki/シャロン・テート
くわしくはwikiを見てもらうとして、この事件をものすごーくざっくり説明すると、ヒッピー文化の最盛期に、カルト教団が有名女優を殺害したよって感じ。


ヒッピー:wiki/ヒッピー
で、まあそんな事件をモチーフとして、あのタランティーノ監督が9作目の作品を作ったわけなんだけれど、俳優陣がヤバい。
(出典:Andreas Rentz / Getty Images)
ブラッド・ピット&レオナルド・ディカプリオ。
もうなんかこの二人が並ぶだけで圧倒的なオーラがあるよね。
ザ・ハリウッドスター!的な。
まあかくいうわたしは元ネタとか知らずに「ふぁっ!? ブラピとディカプリオが共演!? 見よっ!」みたいなノリで見に行ったのですが、見終わったあとだから言う。
この映画は元ネタ知ってから見た方がおもしろいぞ。
※もちろん知らなくてもある程度は楽しめるんだけどね。
物語の焦点は一応『役者』になる
ディカプリオが演じる、昔はすごかったけど今はちょっと落ち目な役者『リック』。
物語のメインはそのリックの役者としての生活に焦点が当たります。
このあたりは「役者ってこういうものなんだ」という感心と、「ああ、つらいよな」というセンチメンタルな共感を誘う形になっていて、よく出来ています。
ディカプリオの演技力もさすがの一言で、見る者を役柄の心の中に引き込む力は尋常ではありません。



でも、物語を楽しむというより再現された時代性を楽しむ映画
映画館のあらすじとか見て「なんかセンチな物語が展開されそうな気配がする」と思ってたのですが、実際に見てみると、これは物語を楽しむというよりオマージュと時代感を楽しむ映画だと思いました。
1960年代後半のハリウッド映画界の雰囲気と、そこを襲ったひとつの悲劇。
作中では当時の時代性というものがさまざまな小道具やセリフなどから入念に表現されています。
実際そういう雰囲気を劇場で感じて、その時代に生きていなかったわたしですら妙なノスタルジーを感じるくらいリアリティがありました。
当時の退廃的とも、耽美(たんび)的とも取れる、えもいわれぬ雰囲気はこの映画の醍醐味のひとつ。
基本的に映画の8割くらいはこの雰囲気をふぁーんと醸す形で過ぎていきます。
で。
タランティーノ監督なのでバイオレンスなシーンがあるかな、と思っていたら、最後に一気に来た。
見る人の感情をゆさぶる力は当然ある
誰だ、このタランティーノとかいうやつにここまでの感情を揺さぶる力を持たせたのは!
クライマックスはシャロン・テート殺害事件の完全なオマージュになっていて、そりゃあもう目も当てられない惨状が繰り広げられます。
ただし、やられるのはマンソン・ファミリー側。
ここが現実と違うところで、完全オリジナルでオマージュの世界に登場したディカプリオ演じる『リック』と、その相棒スタントマンである『クリフ』(ブラッド・ピット)が襲われ、彼らを返り討ちにします。

このあたりのシーンの迫力がものすごくて、物語的なカタルシスはないのにただただ感情がぞわぞわしました。
実際、このあたりのシーンは思わず目を覆いたくなるほどの惨状で、正直子どもには見せられないよ!な感じです。
とてもオマージュらしいやり方ですが、個人的には映画監督としてのタランティーノ監督が抱く怒りが、この一連のシーンに表れているのではないかとも思います。
あと正直リックが火炎放射器を持ち出してきたときは笑いました。


まとめ
総評すると、やっぱり、
- ハリウッド映画『界』が好きで
- 1960年代後半のアメリカの時代性が好きで、
- シャロン・テート事件も知っている
そういう人が最も楽しめる映画だと思います。
正直マニア向けといっても過言ではない。
作ったのがタランティーノでなかったらたぶん普通のなにも知らない人はあんまり楽しめないんじゃないかな、とも思う。

もし「これから見るよ!」って人がいたらとりあえずちょっと予習してからがおすすめ。
余談

劇場で確かめてみてね。