小説を書くときプロットは作ったほうがいいの?
やあ、葵です。(@Aoi_Yamato_100)
小説を書くときによく言われるプロットの有無問題。
そもそも「プロットってなに?」という人は、簡単に言うと「物語の筋」、設計書のようなものです。
ものすごく簡素なものだと、こちらの記事で紹介した「誰が、なにをする物語」もプロットです。
今回はそんなプロットについて説明します。
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プロットは本当に初心者の人は別に作らなくてもいい
結論から言うと、本当に初心者の人は別に作らなくてもいいというのがわたしの持論です。
というのも、プロットはあると便利なものですが、そこにこだわると筆が進まなくなるからです。
ちなみにわたしが『百魔の主』を書きはじめたときもプロットは作りませんでした。
ただし、冒頭でちらっと説明した『誰が、なにをする物語』という一行だけは念のため考えておいてください。
で、それだけでオッケーです。
- 最終的に物語がどこに行きつくのか。
- 途中でどんな出来事があって
- どういうキャラクターが出てくるのか
こと細かに全部は作らなくていいです。
理由①:プロットにがんじがらめになる恐れがある
戦略的に小説を書くのであれば、プロットは必要です。
もっと言うなら、商業作家として長く活躍したいと思うのであれば必然的に必要になります。
プロットは作品の企画書みたいなものなので、あるのとないのでは相談の質がだいぶ異なります。
わたしは口頭でバーっと物語の構想を編集氏に語ったことがある。40分くらいひたすらに。
お、おお……
さすがの編集氏も結構困っていた!(当然である)
こんなときに構想の概要をまとめたプロットがあればとても便利です。
ですが、初心者の方はプロットを書くことでその設計書にがんじがらめにされてしまう可能性があります。
- あ、この展開おもしろそう
- 思ってたのと話の流れが変わってきた……
- でもプロットあるし、それどおりに……
はい! 今そこにあった傑作がひとつ失われた!
プロットの段階で面白いものができていれば、そのプロットを設計図として進めるのはむしろ正しいことでしょう。
また、作家として熟達してくれば、「プロットからそれたけどこっちのが面白い」と的確に判断し、プロットを作り変えるようなこともできるかもしれませんが、初心者にはそんなことできないと思います。
そもそも、最初から初心者がプロットを面白く作れて、かつそれどおりに書けるのであればそれはもう初心者ではありません。
まだあんまり小説を書いたことがないという人で、それでもこんな記事を読んで『小説書いてみようかな』と思っているような人は、まずその書いてみようと思ったことそのものを大事にしてください。
なにか書いてみたい世界やキャラクターがあるのなら、まずはその描写や会話文をとにかく書いてみてください。
「こんな世界、こんなキャラクター書いてみたいけどプロットを作らないとダメかな……」
ダメじゃないです。
もしそういう考えがあるのなら、すでにそれがプロットみたいなものなので、とりあえずまずは書いてみてください。
場当たり的に描いたとしても、良いシーンが生まれることは十分にあります。
というか、経験上、そういう場合のほうがキャラクターが生き生きとすることが多いとすら思います。
理由②:プロットどおりに書くのって意外と難しい
わたしはWeb連載から本を出版した人間なので、物語全体よりもそのときそのときの1話がおもしろいかで展開を考えることが多いです。
ずいぶん書くことになれてきた今は、何話か先まで考えたうえで1話を書くことも増えましたが、そもそも最初のプロットどおりに物語を描くのは意外と難しいんです。
それなのに小説を書くのがほとんどはじめての人が、綿密なプロットを組んで作品を書くのはどだい無理な話。
できる人もいるかもしれませんが、わたしは「そこまでしなくていいんじゃないかな」と思っています。
プロットって、短編を一つ書くのと同じようなもので、そして短編は長編を書くよりも実は難しいです。
理由③:プロットを書いて満足してしまう
あと怖いのが、プロットを綿密に練ってラストまで考え出した結果、なんか満足してしまうこと。
わからないからこそ書いていておもしろいということもあると思います。
作品というのは、自分が楽しんで書けたとき、良いものが生まれます。
そもそも、自分がおもしろくないと思っているものを書き続けるのとか苦痛以外のなにものでもないわけです。
というか楽しくないならわざわざ小説書く意味なくない?
もっと自分が楽しいことして過ごせばよくない?
プロになって印税ほしいとか、お金の希望があるにしても、それなら、ぶっちゃけ運みたいなところもある小説出版に懸けるよりもっとほかに良いビジネスあるよ。
初心者ならプロットは適度に。最悪作らなくてもいい
たった一行の「誰が、なにをする物語か」さえ決めたら、あとはもう思うがままに書くのも全然アリだと思います。
そして、書き進めるうちに思いついた「これだ!」というラストを、メモに取っておけばいいんです。
もしかしたらキャラクターたちが徐々に勝手に動き出すようになって、結末が変わるかもしれない。
それもいいじゃないですか。
自分でも予想しなかった結末になったら、自分もおもしろい。
初心者にとってまずなによりも大事なのは、とにかく書くことです。
もし頭の中にぼんやりと物語や世界が広がっているのなら、それをちょっとずつでもいいから抜き出して文章にしてみると楽しいですよ。
気づいたときには最高におもしろい大作が出来上がっているかもしれません。
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商業作家(プロ)として長く活躍したいのなら作れた方がいい
一方で、上述したとおり、商業作家として長く活躍したい人であれば、プロット(企画書)の作り方も少しずつ勉強したほうが良いでしょう。
理由①:プロットを企画書として提出するのが当たり前になってくる
web小説からの拾い上げや、公募に出した作品で一作目を出す場合はそのかぎりではありません。
しかし、それ以後に次の作品を出そうとするとき、たいていは企画書を出版社に提出する必要があります。
そしてこの企画書というのは、つまり作品のプロットです。
web小説や公募の場合は、すでに出来上がったものを読んでもらった上で出版が決まっているのでいまさらその部分のプロットは必要ありませんが、それと同じようにして「じゃあ次はこんなの描きたいです」と言ってまた一から作品を作っていたのではものすごい時間が掛かってしまいます。
そして、仮に作品として書き上げたとしても、それが必ず出版されるわけではありません。
毎回出版に耐えられるような面白い話がかけるならそれはもう天才です。
つまり、「次、こんなの考えてるけどいけそう?」というのを、出版社や編集者さんに見て確認してもらう必要があるわけです。
で、それが面白いかどうかを判断するために、作品のプロットが必要になってきます。
ただしまれにプロットと言って3日で一冊分くらいの文量をこしらえる輩もいるらしい。
やべぇ……
理由②:必ずすべての文章を読んでもらえると思うな
理由①の最後で述べたように、仮に三日で一冊分の文量をしたためたとしても、問題はそれを読む側にも時間的な制約があることです。
基本的に編集者というのは超人的で、一般人よりも文章を読むことに優れていますが、だからといって、
はい。100万文字書いてみたから読んでみて。
と言ってぽんと作品を渡しても、さすがにすべてを読むことは不可能でしょう。
それが超絶的に面白くて「これいけるゥ!」と思うのだとしても、それは最初の何万文字かを読めば十分なわけで、というかむしろ最初の数千文字で決まることさえ十分にあるわけです。
そしてこれが一番大事なのですが、会社なんかでも同じで、出版を決める偉い人は必ずしもすべてを読むわけではないということです。
これは読者を想定しても同じことで、読者が最初の数ページを読んでその作品を読むかどうか決めるのと同じように、偉い人(架空)はログラインと呼ばれるその作品を表した『一行』を読んで、それが読むに値するかどうかを決めます。
そうなると、結局は「これは〇〇が〇〇する物語です」という作品に対する適切なワンフレーズを作者側が創っておかねばなりません。
そしてそれを決めるためには、作品の大枠としてのプロットがほぼ大体の場合で必要になってきます。
まとめ
そんなわけでまとめると、
- 初心者は無理して作らなくてもいい
- でもプロとして今後も長く活躍したいなら作れるようになった方が良い
これがプロットに対する今のところのわたしの結論です。
ちなみにわたしはプロット書くの超苦手!(最近勉強している)
しっかりやれ。