
やあ、(百魔の主を書いている)葵です。(@Aoi_Yamato_100)
『ラグナクリムゾン』、竜を狩る狩竜人をテーマにしたとても面白い主人公最強系バトル漫画です。
私はラグナクリムゾンがかなり好きで、漫画を何度も繰り返し読んでいます。
さらに、思い返してみると、ラグナクリムゾンは1巻を読み終わった時点で既刊をすべてポチっていました。
で、ふと思ったわけです。


この自分が感じた面白さが分かれば、今後の自分の創作に活かせるかもしれない。
そんなわけで今回はラグナクリムゾンの面白さ――特にその第一話の良さについてつらつらと語りたいと思います。

ラグナクリムゾンの第一話の良さを読み解く
ラグナクリムゾンというタイトル全体の面白さについては【ラグナクリムゾン】強さの果てを目指した怪物の物語【漫画】という記事で書いているのでこちらも参考にしてね。
さて、ラグナクリムゾンは第一話の出来が非常に良い漫画です。
第一話単体で見ても、
- 爽快感がある
- 次の展開が気になる
- 動機や目的がわかりやすい
と、かなりエンタメとしての質が高いことがうかがえます。
①や②についてもいろいろ語りたいところですが、今回は創作者視点で、
3:動機や目的がわかりやすい
という点をメインに掘り下げて見ていこうと思います。
ネタバレを含むので本作をまだ読んでいない人は注意してね!
ラグナクリムゾン第一話の良さ:動機や目的のわかりやすさ
まずは物語の冒頭から。
最初は無難なはじまり方で、物語の舞台となる世界観設定と、主人公の現状が描かれます。
①:冒頭は主人公の現状と、世界観の提示
最初のラグナの立ち位置は以下のとおり。
とある天才少女にひっつく冴えない狩竜人
これが最初のラグナのポジション。
強くもなく、なにか特別なことができるわけでもない。
あえて特徴をあげるとすれば、
- 身の回りの人間がいつも竜に喰われてしまう
- なのに自分だけは生き残ってしまう
- そのことを周りに『呪われている』と揶揄され
- 自分でも「その通りだ。いない方がいいのかもしれない」と思いはじめている
こんな感じ。
そんなラグナが、どうして天才狩竜人である幼い少女レオニカに付き従うようになったかといえば、
レオは自分と一緒にいても死なないという強さを見せつけられたから
間接的に、自分が生きていても良いという心の支えを、レオによって与えられたわけです。
だからラグナにとって、レオはいなくてはならない存在で、一緒に過ごすうちにとても大切に思うようになります。
ラグナにとってレオは、
自分が生きる上で必要な精神的な支え(場合によっては生死に関わるレベルで)
という感じ。

また、ラグナがそんなレオと出来るだけ一緒にいたいという意味で、強さを求めていることも描かれています。
これがのちの展開の伏線(根拠)にもなっているので地味にポイント。
②:事件の前触れ
冒頭で主人公ラグナとレオの関係性が提示されました。
起承転結でいえば『起』にあたる部分。
そして次に『承』にあたる事件の前触れが描かれます。
- 突如として夢に現れる謎の人物
- レオが死んでしまうという不穏な夢
これからなにかが起こるという不安と期待(読者的な)が提示されます。
③:実際に竜の襲撃が起こり、ピンチに
案の定、今までにないほど強力な竜の襲撃が起こります。
ここで竜の強大さがしっかり描かれているのもポイントで、ラグナクリムゾンにおける最初の爽快感を得る起爆剤になっています。
めっちゃ強い・ヤバい⇒主人公がそれを倒す=カッコイイ!燃える!


ともあれ、竜の襲撃でラグナの不穏な夢が現実になりかけます。
しかしラグナにはそれを退ける力はありません。
そこで現れるのが例の謎の男。
レオが死ぬという出来事が現実になってしまった、未来のラグナです。
④:未来の自分が得た力と憎悪を受け継ぐ
この設定は「うまくやったなぁ」と思わず感嘆しました。
未来の自分から力を受け継ぐというのはありそうであまりなかった気がします。
ともあれ、そんなこんなで自分の存在意義にもなっている『命よりも大事なレオ』を救うため、ラグナは未来の自分から狂気じみた力を受け継ぎます。
この時点でラグナに新たな動機が芽生えている点にも注目。
それはレオに危機をもたらす竜への憎悪です。
- 竜がいる限り、レオがまた死ぬような場面が来てしまうかもしれない
- そして未来では実際に竜によってレオが殺された
- だから、竜はすべて滅ぼさねばならない
もともと竜に親や親せきを殺されてきた過去を持つラグナにとって、竜によるレオの死は激しい動機の起爆剤になります。
ラグナクリムゾンは、この主人公ラグナが激しい動機を抱くまでの展開がとにかく丁寧で、なめらか。

⑤:そして無双へ
ここからは本作を読んだ人ならわかるとおり、未来の自分から力を受け継いだラグナが無双するシーン。
竜の強さがしっかりアピールされていただけに、爽快感やカタルシスもひとしお。

⑥:最後に、次へ繋がるもう一人の謎の人物の登場
そんなこんなで危機を退けたラグナ。
未来のラグナは最後の望みを叶え、未来の時間軸で息絶えます。
ここで力を渡したのが未来のラグナ自身であることが、地味に効いてくる。
未来のラグナの願い(レオを助けたい)の結実が、もう一つの物語として淡いカタルシスを生みます。
そしてそれがラグナ自身だからこそ、蛇足にならずに物語の良い読後感に繋がる。

ともあれ、そうこうしているうちに息絶えた未来のラグナのもとへやってくるもう一人の謎の人物。
なにやらいろいろ事情を知っている様子。
最強となったラグナ。
竜を滅ぼすことを決意したラグナと、この謎の人物が今後どういうふうに動いていくのか。
めっちゃ気になる。
まとめ:ラグナクリムゾンの第一話を分析してみた
そんな感じで一気に既刊をポチった葵ですが、こうして改めて読んでみると非常によく出来た第一話です。
- 現状説明(動機の土台の提示)
- 事件⇒激しい動機を抱く
- 今後を気にさせる伏線の提示
無論、ラグナクリムゾンの面白さはこれだけではありませんが、全編通して『わかりやすさ』を感じる漫画です。
それでいて安っぽくないのがまた素晴らしいのですが、今回はひとまずここまで。
依然として今後が気になりまくる良作なので、まだ読んでいないけどここまで読んじゃった人は、ぜひ1巻を読んでみてください。