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百魔の主/漫画版

創作研究室(カテゴリー別)
葵大和
ライトノベル作家
カドカワBOOKSから『百魔の主』というファンタジー戦記小説を刊行しています(既刊6冊)。またコミカライズ版が秋田書店のweb漫画サイト『マンガクロス』にて連載中です。執筆歴は15年。最近はブログ書いたりもしています。うんち。
出版作品(小説/カドカワBOOKS)

百魔の主/葵大和

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小説で情景描写がうまく書けないときはどうすればいいか?

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やあ、葵です。(@Aoi_Yamato_100

「小説でこんな街並みや景色を表現したいけどうまくいかない!」

そんなときありますよね。

小説は絵やイラストがない創作媒体です。百聞は一見に如かずなんて言いますが、小説においてはどうやっても一見してもらうことは不可能で、すべてを文章で表現せざるを得ません。

一方で、表現の仕方次第で読者の想像力を喚起し、作者の想定を超える情景描写を読者に抱かせることもできますが、それは運みたいなものもあるので、まずは自分の思ったとおりの情景を読者に抱いてもらう努力が必要です。

そんなわけで、今回は「情景描写がうまく書けない」ときに使える方法をご紹介します。

結論から述べると、大事なのは実際に自分の五感を意識して文字に起こす、ということです。

この記事の著者について(葵大和)
葵です
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情景がうまく書けないときは

絵や写真の力を間接的に借りて書いてみる

これが一番効果的です。

情景を想像だけで書くのが難しいときは、実際に自分のイメージにあった絵や写真を見て、その絵を言葉で表現してみてください。

たとえばこんな街並みだったら――

ドイツの街並み
(出典:エアトリ『ドイツの街並みは世界一!? ここだけは見ておきたい観光スポット』

  1. 石畳
  2. タイル張りの壁
  3. 三角屋根
  4. 家の入口の扉には飾り付け
  5. その中にはランプがついている

このように、簡単な箇条書きでもいいから特徴を自分なりに列記してみると、それっぽくなります。

さらにここに読者の想像しやすそうな比喩を加えたりして、できるだけ自分のイメージに近づけていきます。

  1. 隙間なく敷き詰められた石畳
  2. 芸術的なタイル張りの壁
  3. とがった三角屋根
  4. クリスマスリースのような飾り付け
  5. いくつものランプが取り付けられ、街に暖かなオレンジ色の光を灯している

ちょっとした小道具の描写が世界観を支える

小説で世界観を伝えたり、そのときの情景を読者にちゃんと思い浮かべてもらうのには、ちょっとした小道具の描写が意外と大事です。

小道具というのは簡単に言うと「物」です。

机、椅子、カーテン、その他もろもろ。一つの部屋の中でもいろいろな小道具があります。

もちろんオリジナルのアイテムなんかでもいいでしょう。

でも、読者に世界観を感じさせるなら、一番大事なのは普通の生活の中にあるなにげない物です。

わたしもついやりがちなんですが、オリジナルのアイテムやそれっぽい建築様式なんかは、それに関する知識や類似物のイメージを読者が持っていれば「想像のショートカット」ができるので便利なのですが、一方でそれを知らない読者はパっと想像することができないので意外と曲者です。

だからこそ、生活上どこにでもあるような物のほうが世界を感じさせる(作品世界に没入させる)のには重要だったりします。

読者が確実に絵(情景)を思い浮かべることができるものを使う

その単語を見て、読者が確実に絵(情景)を思い浮かべることができるものを描くの一番良いでしょう。

ゴシック建築やバロック建築やら、よくあるヨーロッパ的なファンタジー世界を想起すると、そういうのを使いたくなってしまいます。

ゴシック建築>>>『wiki/ゴシック建築』(画像有り)

バロック建築>>>『wiki/バロック建築』(画像有り)

このあたりの建築様式についてまとめて説明してくれている記事>>>『ロマネスク、ゴシックの違いは?ヨーロッパ旅行がもっと楽しくなる建築豆知識』(画像有り)(出典:TABIZINE

  • 「こんな世界なんだ!」
  • 「こういう雰囲気なんだ!」

そう思って自分のイメージしているものを説明として書くこと自体は、悪いわけではありません。

しかし、建築様式にくわしくない人は、「ゴシック建築ってなんだ?」「バロック調ってなんだ?」となってしまいます。

こうなった場合、その説明はまず読者に十分な想像の効果を与えません。

だからこそ必要なのが、『できるだけ多くの人が知っていて、かつ、自分の作る世界観に合っている小道具』の描写です。

たとえばどんなものがあるのか

これって実はとても難しいことです。

だからこそ主人公が現代人の異世界物だったりすると、一人称を使って「〇〇に似てる」というので補足できたりするのが強みにもなるのですが、ひとまず置いておいて。

ローファンタジーであればまだやりやすいでしょう。

今の自分の生活を振り返ってみて、そこにあるものを書いていけばいいのです。

ローファンタジーの場合

ローファンタジーは現代世界を基とするファンタジーなので、ファンタジーたるゆえんのシーンでなければ、そのまま書けばいい。

学校の教室にあるもの。

  • 黒板
  • 紙のカレンダー
  • 誰かが置いて行ったカバン

そういうものを振り返って書いていけば、おのずとどんな世界なのかが見えてきます。

でも、ハイファンタジーだった場合は少し考えなければなりません。

ハイファンタジーの場合

どういう文明レベルなのかにもよります。

そのときまず考えるのは「今ある道具の昔の姿」でしょうか。

そこらへんにある照明。

今はLEDライトやらなにやらですが、昔は「カンテラ(洋灯)」だったかもしれないし、燭台に刺さったろうそくだったかもしれない。

カンテラ
(カンテラ)
カンテラ
カンテラ

まあ、カンテラって呼び方も十分難しいので、「ランタン」のほうがまだいいかもしれません。

できれば固有名詞だけでどんなものだかわかるのが一番です。

で、もし「これじゃあまだどんなものか想像しづらいかな?」と思ったら、形や使われている素材、色や雰囲気などを言葉で付け加えるのがいいでしょう。

燭台とろうそく、であればだいたいの人はわかりますね。

燭台とろうそく

ただ、燭台とは言ってもテーブルに乗るようなものだったり、廊下に置かれた背の高いものだったり、あるいは壁から生えるようにつけられているものかもしれません。

場面場面でどういう燭台であるのか、補足してあげるとさらにいいでしょう。

このように、「今あるものが昔はどんな形だったか」を考えると、自分が書きたい世界観にふさわしい小道具のレパートリーが増えます。

いかに短い言葉で的確に表現するか

小説はたくさんの物語や世界を言葉だけで表現することができますが、だからといってその利点を消してしまうのは得策ではありません。

  • だらだらと説明をする
  • 短く表現できるものを必要もなく長く書く

これをやってしまうと小説の利点が消えてしまいます

小説の持つ物語や世界の密度は、読者の想像力が働いてこそメリットとして現れるものです。

なので、「ここ、もっと短くできるかな?」「これはもっと想像力を働かせるのにぴったりな言葉があるはずだ」という考えを常に持つようにしてください。

小説は作者が書くものですが、その世界の広がりは読者の想像力とともに作者の意図以上に広がってくれるものです。

広がりのある世界は、その作品の強みそのものです。

少なくともエンターテインメント作品においては、簡易平明な文こそ美文だとわたしは思っています。

短く、わかりやすく、それでいてその世界の様子を実感できるもの。

一話、一冊の本の中により多くの物語と世界を込めるためにも、その世界を形作ってくれるさまざまな小道具を、文章の中にちりばめてみてください。

言葉で表現するからこそ、読者の想像力を利用できる

小説の良いところは、言葉で表現をするところです。

言葉で表現するということは、脳内のイメージはその文章を読んだ人の想像力に依存するということでもあります。

ひとくちに「ファンタジー世界のような街並み」といっても、それぞれ頭の中に思い浮かべる「ファンタジー世界」は違います。

好きなゲームに出てきた街並みかもしれないし、最近読んだマンガの街並みかもしれない。

昔読んだ絵本の情景が浮かぶかもしれないし、現実に旅したヨーロッパの街並みかもしれない。

極端なことを言うと、そういうものにあまり触れてこなかった人は、「ファンタジー世界のような街並み」と言われてもまったく頭の中に情景が浮かんでこないわけです。

慣れてきたらこういう言葉の特性を活かし、読者の想像力をたくみに使うことで、作品世界を補完する。

そうすることで、一言一句に詰め込める情報力が多くなります。

小説は、最終的にいかにして1ページに多くの情報を盛り込むか、というところに行き着くので、世の中の共通認識や、その作品を読むであろう読者に伝わりやすい表現を考えると、一段レベルアップすることができます。

前提として「ちゃんとわかる」が重要だけどね。

難しい言葉を使って詰め込んでも伝わらなければ意味がないからな。

まとめ:最初は絵やイラストの力を借りよう

こんな感じで、最終的にはあえて細かく描写せずに、一発でそれと伝わる――あるいは「こういう感じ」が間違いなく伝わる形容詞や固有名詞が使えるようになるとベストですが、まずは絵やイラストなどで自分が見ている景色をそのまま言葉で伝える、という方法を使ってみるのが良いでしょう。

自分の頭の中の情景を言葉にするのはとても難しいことです。

だからこそそういうものを絵にできるイラストレーターさんは本当にすごいと思います。

そんなイラストレーターさんや、リアルでありながら幻想的な写真を取ってくれる写真家さんたちの力を借りて、それを言葉にする訓練をちょっとずつしてみてください。

ファンタジーであれば新しい世界観を作るインスピレーションをもらえたりもするので、とてもおすすめです。

参考になる書籍

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