人気のある悪役キャラクターに共通する3つの性質【+作り方考察】
やあ、葵です。(@Aoi_Yamato_100)
かっこいい悪役がいる物語はおもしろいですよね。
有名どころで言うと――
ポチップ
戦闘力53万。
ポチップ
ゲロ以下の匂いがぷんぷんするやつ。
ポチップ
突きぬけてて鮮烈だった。
ともあれ名悪役キャラというのは、時に主人公以上に物語を彩ります。
もちろん、作品になにを求めているかで必要とされる悪役の質も異なりますが、
- 中/長編
- 非日常モノ
- ストーリー重視
であれば、間違いなく魅力的な悪役は書けるに越したことはありません。
というわけで、今回はそんな悪役キャラクターたちが持つ魅力について考えてみようと思います。
(悪役は奥が深そうだ……)
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人気のある悪役に共通する性質について
魅力的な悪役と呼ばれるキャラには、次の三つの共通点があると思います。
- ブレない信念(美学)
- 強烈な欲求(野望)
- 孤高性(カリスマ)
それぞれ一つずつくわしく見ていきましょう。
ブレない信念(美学)
なによりも大事なのはこのブレなさだと思います。
カッコよく言うと「信念」とか「美学」と呼ばれるものですね。
ちなみに正義とは少し違う。
悪役の信念が世間一般的に正しい義とは限らないしな。
正義についてはややこしいし、まじめに議論しようとすると哲学的になるので、気になる人派とりあえずこのあたりを読んでみるといいよ。
正義論についてまとまってる本!
で、このブレなさというのは悪役以外にもとても重要なものですが、悪役には必須な性質です。
悪役の信念は主人公と対立し、そしてたいていぶつかるもの。
ぶつかることで、ストーリーは生まれます。
で、そんな悪役キャラが、仮に途中でその信念を曲げてしまったら――
主人公「これまでの行いの報いを受けろ!」
悪役「……ああ、今となっては悪かったと思っている」
主人公「えっ……あ、うん……」
超カッコ悪くない!?
もう悪役とか以前になんか人としてカッコ悪くない!?
それじゃあこれまでのストーリーなんだったのってなるよね!?
もちろん、そうなるに至るまでのちゃんとした物語があればけっしてすべて悪いというわけではないのですが、わたしがこれまで書いて(+見て)きた経験上、そういう悪役はかなり嫌われます。
そして悪役を出すのであれば、基本的に主人公VS悪役という対立構造でストーリーが進むので、物語は一気に推進力を失ってボロボロになります。
だから、悪役はその悪役たる信念を曲げてはならないのです。
もし悪役が信念を曲げなければならないときが来たら――
来たら……?
次の悪役を出せ! 可能な限りすばやく!
……!
強烈な欲求(野望)
悪役が登場する物語は、主人公以上に悪役の欲求によってストーリーが進むことがとても多いです。
というのも、悪が栄えなければなんの事件も起こらないからです。
ただただ平和でのほほんとした日常が繰り広げられる。
そう、延々と。
(今日も平和だ)
もちろんそういう作品にもおもしろいものはたくさんあります。
日常系って疲れたときとかに心のエネルギーを充填してくれるのでわたしも好きです。
でも書くのは難しいから覚悟しておけ。
ちなみにファンタジー日常系ならコレがおもしろい
ともあれ、ストーリーが推進力を持つためには、悪役キャラがその野望のために動き出す必要があります。
順序はどちらでも良いとは思いますが、先に悪役キャラの野望による事件が起こっていたほうが、ストーリーのテンポは良くなるでしょう。(状況が緊迫するため)
ちなみに野望を基準にした主人公と悪役キャラの位置関係には二つ種類があります。
- 対立
- 競合
の二つです。
対立の場合
対立の場合は、主人公と逆の性質の欲求を持たせればいいので、そう深く考えなくてもいいでしょう。
考え方の順序としては、
主人公の欲求⇔悪役の欲求→その欲求に基づく信念
図にするとこんな感じ。
(あれ? わかりづらい……?)
もっと良い感じの作れたら差し替えます。
とにかく、「欲求が決まってからそれに基づくブレない信念を考える」という順序でOK。
「信念」も対立しているとより構造がわかりやすくなるので読みやすさに繋がりますが、絶対にそこも対立してなきゃいけないというわけではありません。
で、ここまで決まると自然と、
- なぜそういう欲求を抱くようになったか
- なぜそういう信念を抱くようになったか
という背景(バックボーン)を考えることになるので、そこから悪役キャラをどんどん深堀りしていってみてください。
必ずしも作中にそういった描写を入れる必要はありませんが、一人のキャラクターを描くという点でその背景(バックボーン)はのちのち絶対に参考になります。
競合の場合
競合の場合は「対立」より主人公側に気を配る必要があります。
というのも、主人公にもその悪役の野望に負けないくらいの欲求を抱かせなければならないからです。
悪役の野望は強ければ強いほど物語が映(は)えますが、その場合は主人公も同じくらい強くなければ悪役に食われてしまいます。
で、悪役というのは文字通り悪なので、わりかし倫理的にアウトな感じの野望でも簡単に持たせられますが、主人公は読者の感情移入側なので、倫理的にアウトなものにしてしまうとその感情移入/共感のさまたげになります。
だから、「競合」の関係性で作る場合は、主人公の欲求と悪役の欲求の方向性についても頭をひねる必要があるでしょう。
なので基本的には「対立」構造がオススメ。
ちなみに
悪役キャラ以外でストーリーに強烈な推進力を持たせたいなら「謎」(ミステリー)が鍵になります。
読まれるストーリー作りにはミステリー(謎)が欠かせないって話
小説や漫画を読む読者に次々とページをめくってもらいたいなら、謎(ナゾ)を作って見せることがもっとも効果的です。 そう改めて思ったのは、なにげなくテレビを見てい…
孤高性(カリスマ)
最後は魅力的な悪役キャラクターの孤高性、いわゆるカリスマについてです。
魅力的な悪役というのは、それ自体が個性の塊です。
個性が強ければ強いほど、孤高になります。
もちろん悪役のそばに良き理解者がいるのはかまいません。
でも、それはあくまで理解者(もしくは協力者)であって、同じ位置(高さ)に立つ者であってはなりません。
もし、同じ位置に立つ者だったら、そもそもそこが競合してしかるべきだからです。
悪役「俺、世界征服する」
理解者「私も世界征服する」
悪役「いやいや、俺が世界征服するから」
理解者「いやいやいや、君のやり方は理解できるし共感するが世界征服するのは私だ」
ちょっと表出ろァ!!
上等だゴラァ!!
主人公との対立構造で設定された悪役側の欲求というのは、えてして倫理的にアウトな場合が多いです。
で、そういうものって読む側のリアリティに照らし合わせたとき、一般的に多くの人が享受できる欲求でない場合がとても多い。
つまるところ、勝者が一人である野望。
その前提で同じ位置に立つ理解者を作ってしまうと、まずそこで対立が起こります。
もしその理解者があんまり強くなければ、結果として悪役が理解者を食いつぶして孤高になるでしょう。
もしその理解者が悪役と同じくらい強ければ、悪役VS理解者という主人公そっちのけの新たなストーリーが展開されるでしょう。
もしその理解者が悪役より強かったら、もう理解者=悪役です。(本末転倒)
なので、悪役は孤高になります。
でも、それがカッコイイんです。
周りにそれらしい仲間はいても、本質的にはどこにも所属していない孤高。
そこに唯一無二のカリスマ性が生まれるのだと思います。
まとめ:悪役キャラって奥深い
悪役に関しては奥が深すぎてまだまだ考察が足りない。
反省かよ。
①感覚的理解と②言語による理解と③実践の可否がいかにかけ離れているかの証明としてお使いください。
でも、基本的に最初に挙げた3つの要素は最重要だと思ってます。
- ブレない信念(美学)
- 強烈な欲求(野望)
- 孤高性(カリスマ)
これらを備えた悪役キャラは、勝手に動くうちに、必然と主人公と肩を並べて物語を彩るキャラクターになるはずです。
もし自分の作品にいる悪役キャラクターが「なんか物足りないなぁ」と思ったら、この3つの性質を持ち合わせているか今いちど考えてみてはいかがでしょうか。
悪役に関するオススメ参考書籍
めっちゃ勉強になった。