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百魔の主/漫画版

創作研究室(カテゴリー別)
葵大和
ライトノベル作家
カドカワBOOKSから『百魔の主』というファンタジー戦記小説を刊行しています(既刊6冊)。またコミカライズ版が秋田書店のweb漫画サイト『マンガクロス』にて連載中です。執筆歴は15年。最近はブログ書いたりもしています。うんち。
出版作品(小説/カドカワBOOKS)

百魔の主/葵大和

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作者は自分より頭の良いキャラクターは書けないのか?【賢さの表現】

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やあ、葵です。(@Aoi_Yamato_100

ぼんやりツイッターをのぞいていたらとても興味深いツイートをしている作家さんがいたので今回はそのツイートをもとにちょっとだけ考え事をしてみようと思います。

該当のツイートはこちら

同じ創作者としてはまったくもってそのとおりだと思うところですが、一方で「作者より頭の良いキャラクターは原理的に書けないだろう」と揶揄されることもあります。

というわけで、今回は作者より頭の良いキャラクターは書けないのか?という問題について、具体的な書き方も踏まえて考えてみたいと思います。

この記事の著者について(葵大和)
葵です
タップできる目次

そもそも作者より頭の良いキャラクターは書けないのか?

結論から言うとわたしは書けると思っています。

「頭の良さ」「賢さ」といっても、一口には言えない部分があります。

  1. 勉強ができる(吸収が早い)
  2. 知識がある
  3. 論理的思考力に長ける

いろいろな頭の良さがあって、でもそういうものはおおむね魅せ方でどうにかなります。

考えるべきは、それを読んだ読者がどう感じるかです。

魅せ方に違和感があるからバカだと揶揄される

結局のところ、「作者より頭の良いキャラクターは書けない」と言われるのは、その見せ方がずさんだったからでしょう。

わたし自身経験がありますし、読者の方に指摘されて「たしかに」と思ったこともあります。

そのキャラクターが、ある状況に際して取った行動、あるいはその周りのキャラクターが喋った言葉に読者が違和感(リアリティの欠如)を覚えると、不自然さを通して「この作者なんか頭悪そう……」と思うのです。

たとえば、読者の大半が「さすがにそれはわかるだろ」と思うことについて主人公がいつまでも気づかなかったり、逆に、主人公はわかっているけど、その特別性や優位性を見せようとして周りを極端にバカにすると、読んでいる側は「いやいや、不自然すぎるわ」となって、それを書いている作者の頭の出来を心配します。

おれ、どうすれば歩けるか知ってるぜ! 右足を前に出したあとに左足を前に出すんだッ!

えっ! そうなんですか⁉ すごい‼ はじめて知りました!

(なにやってんだこいつら……)

見せ方の工夫すら考えられないのであればその通りかもしれない

一方で、どうして「作者より賢いキャラは書けない」と言われてしまうかについて、その理由や原因、解決案をまったく考えられないというのであれば、そのとおりかもしれません。

メタ的には、それが作者の生み出すキャラクターの現時点での限界だからです。

でも、何度も言うように、読者に「このキャラクターは頭が良いな」と思わせる演出はいくらでもあります。

「どうすれば読者にこのキャラクターは頭が良いと思ってもらえるだろうか」

それを考え、そう思ってもらえるような工夫を凝らすことが、賢いキャラクターを描きたいと思ったときに作者が行うべきことです。

どうすれば賢いキャラクターが書けるのか?

さて、では「じゃあ頭の良いキャラクターってどう書けばいいわけ?」という疑問について考えてみます。

頭の良いキャラクターを書きたいときは、自分の表現したい「頭の良さ」を最初に考えてみましょう。

頭の良いキャラクターの作り方(知識系)

キャラクターの頭の良さを見せたい時に一番簡単な方法は、知識系の頭の良さをアピールすることです。

なんといっても、調べればどうにでもなるからです。

調べる手間はかかりますが、今の時代はインターネットを通して比較的確度の高い情報に触れられます。(無論、文献を読んだり、たしかな情報を持っている人に取材したりするのが一番良い)

舞台が現代であれば、なかなか普通の人が知らない知識をキャラクターに喋らせるのが良いでしょう。

でも、気を付けるべきはそれがちゃんとした知識であることです。中途半端にやるとかえってバカに見えます。

一方で、ファンタジー作品などの中で描くときは、その世界独特の知識をくわしく語らせるのも一つの手です。

  • 一般的に解明されていない
  • 今まで誰も理論を証明したことがない
  • その魔術を解読した者はいない

このように、一般的には困難だけれどもそのキャラクターは知っている、という情報を前もって描写しておくと、より「あ、こいつはほかのやつと比べて頭が良いんだな」となります。

誰でも知ってそうなことを自慢げに話しても「キャー! なんて頭の良い人なの!」とはならない。

頭の良いキャラクターの作り方(機転系)

創作物の中では知識系よりも知恵や機転が回るタイプがよく「頭が良いキャラ」と言われている気がします。

いわゆる軍師タイプのキャラクターですね。

こういったキャラクターを描きたいときは見せ方に気を使います。

けっして特別にむずかしいというわけではないのですが、あまりに露骨だとちょっと不自然になるときがあります。

こういうふうに書くと読者に対してフェアじゃなくなる場合もあるのですが、一番やりやすい方法は「作者しか知りえない先の情報」を、「あらかじめそのキャラクターだけ持っている」状態を意識することです。

たとえば、戦記モノなどを書くときを想像してみてください。

当然ながら主人公勢(味方)は次の敵軍の行動を知りえません。

でも、作者(あなた)は知っています。

敵の軍師の頭の中と、味方の軍師の頭の中を唯一知っているのは作者です。

だから、ちょっとだけ内緒で、敵の軍師の次の策を主人公に教えてあげるのです。

(気をつけろ、次は右翼が突撃してくるぞ)

もちろん、これを教えたという違和感を読者が覚えてはいけません。

あくまで内緒で教えます。

それに対し、主人公が打開案を考えます。

  • 「次はこう来る。じゃあ、こちらの左翼にあらかじめ強いやつをおいておこう」
  • 「ついでに手薄になる敵軍右翼の後部に別働隊を突っ込ませて、一気に分断してやろう」

そしてその策が見事に成功したら敵軍の軍師にこう言わせてやってください。

「まさか……この展開を読んでいたのか!!」

主人公(神様に教えてもらったなんて言えない)

それ以外にも、作中の描写で敵軍師の一手がすぐれた一手であることを書いておいたり、仲間の歴戦の老兵とかに「これは……かつての軍神を彷彿とさせる閃きじゃ……」とか言わせておけばさらにグッド。(やりすぎは禁物)

このように、見せ方次第で名軍師は書けます。

あとはバランスの問題で、「主人公に対して周りのキャラクターを極端にバカにする」や、「それまでまったく出てこなかった新情報を突如として出す」などをしなければ、リアリティを失わずに書けることが多いです。

まあ新情報に関しては上の戦記の例も若干きわどいですが、あらかじめどこかに伏線を張っておけば解決します。

そのときには知識系の頭の良い描写も組み合わせる相乗効果が出るのでとてもおすすめ。

  1. 敵国の暗号方式を熟知していて、敵軍師が出した手暗号をとっさに読みとった
  2. 敵軍の今までに別の場所で繰り広げてきた戦いをすべて把握していて、戦術の癖を読み取っていた

一例ではありますが参考にしてみてください。

まとめ:ほかの普通のキャラクターにできないことをやらせる

普通のキャラクターが知らないこと、考えられないこと、と言いかえることもできます。

描く世界観の中で、いかにそのキャラクターが頭の良いやつか知らせるためには、ほかキャラクターと比べてどれだけ知識を持っているか、モノを知っているか、そいつだけ機転が利いたかをわかるように描くことです。

そしてそれは現実に物語を読む読者にとって不自然にとらえられない範囲で行います。

正直わたし自身あまり頭が良いほうではないので、ちょっとうまく伝えられたか不安なのですが、見せ方次第で頭の良いキャラクターは書けます。

なにより小説は、じっくり考えてから書くことができるからです。

頭の良い展開を一分で作れ、と言われてもわたしはできません。

ですが、時間をかけていいのであれば、一つくらい思いつきます。

そのための状況を作って、ここぞというところで魅せるのです。

ぶっちゃけうまい創作者は事実の羅列だけで天才的なキャラクターを作り上げてしまう人もいます。

見せ方がやたらとうまいんです。

「さすがにこんな頭のいいやつ現実には……」と半分思うのに、「でも本当にいるかもしれない……」という妙なリアリティを感じさせてしまうキャラクターがいます。

その狭間をいかにして表現するかが、作者の腕の見せどころとも言えるでしょう。

もし本当に頭の良いキャラクターが書きたいなら、ちょっと時間を割いて周りの状況から整えてみるといいですよ。

ちなみに(頭の良いキャラがぽんぽん出てくるおすすめ小説)

なんだコイツら、天才かよ……

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