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葵大和
ライトノベル作家
カドカワBOOKSから『百魔の主』というファンタジー戦記小説を刊行しています(既刊6冊)。またコミカライズ版が秋田書店のweb漫画サイト『マンガクロス』にて連載中です。執筆歴は15年。最近はブログ書いたりもしています。うんち。
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百魔の主/漫画版

出版作品(小説/カドカワBOOKS)

百魔の主/葵大和

ルパン三世がなぜあんなにカッコイイのか作家が分析してみた

泥棒なのに!

やあ、葵です。(Aoi_Yamato_100

ルパン三世を皆さんはご存じでしょうか。実際に作品を見たことがない人でも、名前くらいは聞いたことがあると思います。(金曜ロードショーでカリオストロの城が驚くべき回数で放映されているけど

ルパン三世というのは、モンキー・パンチ先生が原作の漫画・アニメ作品に出てくるキャラクターです。ちなみに第一回のアニメ放送は1971年でぶっちゃけこの記事を読んでいる人より年上な可能性すらあります。

このルパン三世、職業は泥棒、見た目は三枚目、なのにどういうわけかめちゃくちゃカッコいい。ザ・男の憧れる男という感じで、かくいうわたしも大好きです。

で、何度も言うように、肩書だけ見ると『泥棒で三枚目』とまったくカッコよくない。それどころか職業が泥棒って悪党じゃないか、と思うわけですが、やっぱり何度見てもカッコいいので、今回はそのルパン三世のカッコよさの謎について独断と偏見を総動員して分析してみたいと思います。

この記事の著者について(葵大和)
葵です
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ルパン三世はなぜこんなにカッコいいのか

ホント不思議ですよね、イマドキのイケメンキャラとは違って髪型は坊主だし、もみあげはやたら長いし、しぐさも一周回ってキザったらしいのに、ルパンがやるとカッコイイ。

もちろん、こうしてルパンをカッコイイと思ってしまう背景には、ルパン三世がどういうキャラクターであるかをわたしが知っているからというのもありますが、パっと外見だけ見て「え?全然かっこよくないんだけど?」と思った人でも、ルパン作品を見ればすぐに「ルパンかっこいいわ」となるはずです。

というわけで、まずはルパンの簡単なプロフィールから見ていきましょう。

ルパン三世のプロフィール

  • 怪盗アルセーヌ・ルパンの孫であり、卓越した技量を持った大泥棒である
  • 猿顔で、細長い顔としゃくれた顎に短髪、もみ上げが特徴的
  • 女たらしで三枚目(しかし本人は容姿に自信を持っている)
  • ケーキやコース料理を一人で作れるなど、シェフ顔負けの高度な料理の腕前を持っている
  • 盗みに関連してあらゆる知識に長けており、天才と言ってもいい(頭脳指数(IQ)300)
  • 高価な宝をコレクションにすることよりも、鮮やかな手口で盗み出すこと自体に生き甲斐を感じている
  • とはいえ芸術品に対する審美眼や贋作を見抜く知識はかなりのものである
  • 身体は長身痩躯かつ軟体、がに股歩きが特徴
  • 足で頭がかけるほど両手足の関節も器用
  • スポーツについてもラグビーや、アメフト、ボクシング、クレー射撃、社交ダンスなど何でもこなし、また足も速い
  • 射撃能力については自分の真後ろにいる相手に見もせずに命中させることができるなど、次元や銭形に匹敵する実力を持つ
  • コンピュータやメカニックについての知識も高い描写がある
  • 細さとは裏腹に腕力も強く、素手で相手を倒す場面も多い
  • 老若男女を問わず変装でき、声色も使い分けられる
  • 女性には「女好き」という性格ゆえに、滅法甘く弱い
  • 身長:179 cm、体重:63 kg
  • 年齢:不詳
  • 国籍:不明、出自は日仏混血

なげぇ!

wikiを参考にしているけど、それだけ愛されているキャラクターということだね。

長所と短所が入り混じる人間性

能力だけで見ると「超人かな?」とひきつった笑いが漏れてしまいますが、まあ一部の超人的な能力については創作物なので目をつむるとして、それにしてもルパンは卓越した能力を持っています。

一方で、人格的にはやや難があり、しかしそれこそがルパンの罠だ、気をつけろ。

超人的な能力を持ちながら、見た目は三枚目で、女に弱いなどの弱点もある。この親近感こそがルパンのキャラクター的なかっこよさの最たる要因です。

人は完璧な超人には憧れを抱きこそすれ親近感は覚えません。そしてちょっとやそっとカッコイイところがあってもすでに上がりきったハードルの中で「まあそうだよね」と納得するだけで感動はしません。

しかしルパンの場合は、落差があります。三枚目で、女に弱くて、でもやる時はやるからこそ、ルパンのカッコよさが際立つのです。

キャラクターには弱点を持たせると良い、の典型。

美学を持った悪党であること

今さらいうことではありませんが、泥棒というのはほぼすべての国において法律的に悪とされるものです。

他人の財産を脅かすので当然ではありますが、そんな泥棒を生業とまでしてしまっているルパンがなぜここまでかっこよく映るのか。

そこには、ルパンが泥棒としての盗み方に美学が持っていることが挙げられるでしょう。

プロフィールにもあるとおり、ルパンは財宝そのものへの興味がそれほどありません。財宝の価値ではなく、厳重に守られているものをそのスキルで盗み出す過程に価値を見出しています。これは泥棒という職業、もしくは盗みという行為に関する一種の美学です。

アニメ映画版などでは財宝そのものも話のスケールを大きくするために価値の大きなものにされていますが、ルパン自身は財宝への欲ではなく、難しい盗みという行為の達成に主眼を置いているため、変にいやらしく映りません。

ある物事に美学を持って特化しているスペシャリスト(職人)というのは、凡庸な我々からすれば「すげえ!」と思う憧れの対象でもあります。

その点がルパンの『泥棒』という一般通念上悪とされる生業に対する悪感情を薄れさせているのだと思います。

種類にもよるけど、完全犯罪を行って逃げ切った者に対する後ろめたい憧れ、のようなものが背景にあるのかもしれない。

悪党の美学についてはコチラ

社会のルールの外にいる(自由である)

ルパン三世は職業を泥棒にしてしまっている点から見ても、当然ながら一般社会的な規範から逃れている人間です。

普通に生きる人々には守るべき社会のルールや人間関係がありますが、ルパンはそのルールの外にいます。

我々がこの社会のルールに縛られている状況の中で、その外側で自由に人生を生きるルパンに、憧れを抱いている節はあると思います。

人間の後ろめたい欲求の代替者として、悪党というのはある意味憧れや投影の対象になるわけです。

義賊的な描かれ方

これはアニメ版に特に顕著な特徴ですが、ルパンはたびたび作中で義賊的な描かれ方をします。

義賊:義賊(ぎぞく)とは国家や領主などの権力者からは犯罪と目され、無法者とされながらも、大衆から支持される個人及びその集団のことである。

こと、盗みにおいて形容するなら、『悪い大金持ちからしか盗みを行わない大衆の味方』的なポジションです。

無論、ルパンが義賊である、という明確な描かれ方はしませんが(原作者も否定していた)、結果的にルパンは義賊的なポジションに収まることが多いです。(そうは見せないが悪党の悪党らしいところは描写されない)

これは魅せ方の問題ではありますが、いずれにせよ『大衆の味方』であることは我々の共感を誘います。

ルパンの盗みによって救われる人間が必ずいる

これも結果論です。しかし、エンターテイメントとして当然のことながら、ルパンが財宝を盗み過程で救われる人間がいます。

カリオストロの城しかり、直近のテレビシリーズしかり、やっていることは泥棒という悪行に違いないのですが、結果的にルパンは作中で人を救います。

そのことが、やはり泥棒という文字の上での悪い印象を払拭し、『盗みによって人を救う男』というなんとも不思議なポジションを形成するわけです。

ワンピースなんかもそうだよね。よく考えると海賊ですよ、あれ。

どんな窮地も持ち前の実力で乗り越える

ルパンがカッコイイ理由の一つは、やはり主人公としての格にあります。

これだけの作品があると、一度や二度は失敗することもありますが(とはいえ大きな失敗ではない)、しかしほぼすべてにおいてルパンは勝利します。

これは主人公としての宿命ではありますが、その勝利までの過程をルパン自身が実力によって(あるいは実力を発揮する描写があることで)乗り越え、勝利を手にしていることは間違いありません。

最後には勝つ、敵のどんな卑劣な手段にも屈せず、みずからの美学を貫き、果てに誰かを救う。

そりゃあカッコイイに決まっています。

見た目と実力のギャップがある(親近感がある)

ルパンはけっして二枚目ではありません。どこか愛嬌のある三枚目タイプです。

一方で、そんな容姿でありながら悪党としての実力は群を抜いています。

このギャップがルパンへカッコ良さを感じる鍵になっています。これは親近感に近いものでしょう。

超絶美形の、なんでもできる完璧超人が、普通になにかをして圧倒的な力を見せつけ、勝ち上がる。それはそれで爽快感はあるかもしれませんが、親近感は抱きづらいものです。

一方のルパンは、けっして見た目は派手ではないし、普段はお茶らけているけど、いざというときにはその圧倒的な実力を発揮して、数々の苦難を乗り越えます。

そこに人々は共感し、また応援し、ルパンが窮地を脱する姿にホっと一息をつくのです。

結論:ルパンの魅力は悪党としての美学があること、長所と短所の両側面を持つこと

結論としては、ルパンのカッコよさは「悪党としての美学を持っていること(そのうえで貫くこと)」、そして、「高い能力を持ちながら親近感を抱く弱点を持っていること」が支えているものだと思います。

ダークヒーローはえてして暗いバックボーンを見せがちですが、ルパンはけっしてそうではない「明るい悪党」としての魅力も持ちます。そこが、上記二点の特徴を持つ良キャラクターから、さらに一線を画すキャラクターとなっている一因かもしれません。

これからピカレスクものやダークヒーローを描こうかな、と思っている人はぜひ参考にしてみてください。

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