11世紀初頭に存在したヴァイキングという民族を知っていますか?
北ヨーロッパ周辺を舞台に、最強の戦闘民族(サイヤ人じゃないよ)として存在していたヴァイキングを描いた物語がこのヴィンランド・サガです。
以前に『ファンタジー作家になるために勉強しておくと良い教科ランキング』という記事でお話したとおり、現実の世界史はそれのみですでにファンタジー性を持ちます。
11世紀初頭のヨーロッパともなれば、現代を生きる我々にとっては『ここではないどこか』です。
そんなワクワクする世界観を、たしかなリアリティと見事なストーリーで描いたこのヴィンランド・サガは、まさしく叙情詩(サーガ)の傑作と呼ぶべき漫画でした。
※2019年にアニメ化しました!
[sanko href=”https://vinlandsaga.jp/” title=”TVアニメ「ヴィンランド・サガ」公式サイト” site=”TVアニメ「ヴィンランド・サガ」公式サイト” target=”_blank” rel=”nofollow”]
ヴィンランド・サガの評価と見どころ
[box class=”hosi3″][value 4.5]おすすめ度[/value][/box]
この作品の総合評価(5段階)
ストーリー | |
---|---|
5点 |
序盤は主人公トルフィンの復讐譚がメイン。途中である転換点を迎えるのだけれど、そこでかなり感情を揺さぶられる。重厚かつ良質なストーリー。 |
キャラクター | |
5点 |
各キャラクターの個性が際立つ。動機・背景・生き方、そういったものがありありと伝わるすばらしいキャラクターたちが数多くいる。 |
世界観・設定 | |
4点 |
世界史の持つファンタジー性と歴史だからこそのリアリティが高レベルで融合している。これこそまさに世界史系マンガの傑作と呼ぶべきもの。 |
総合評価 | |
5点 |
ヴァイキングという最強の民族がどういった人間たちだったのか。当時の北ヨーロッパがどういった時代だったのか。魅力的なキャラクターたちの見事な群像劇もあいまって本当に読む手が止まらなかった。 |
あらすじ
千年期の終わり頃、あらゆる地に現れ暴虐の限りを尽くした最強の民族、ヴァイキング。そのなかにあってなお、最強と謳われた伝説の戦士が息子をひとり授かった。トルフィンと名づけられた彼は、幼くして戦場を生き場所とし、血煙の彼方に幻の大陸“ヴィンランド”を目指す!! 『プラネテス』の幸村誠が描く最強民族(ヴァイキング)叙事詩、堂々登場!(Amazon公式)
①世界史の持つファンタジー性
ヴィンランド・サガは、実際の歴史上に存在したヴァイキングたちを描いた漫画です。
常々世界史こそファンタジーが参考にすべきすべてのリアリティを兼ね備えていると言っていますが、この漫画はそのお手本とも言える出来で、世界史の持つファンタジー性を見事に表現しています。
(出典:©ヴィンランド・サガ)
ここではないどこかの、本当にあったお話。
これ以上のファンタジー性とリアリティを兼ね備えた題材は、世界史以外に存在しえません。
②高いストーリー性と魅力的なキャラクター
ヴィンランド・サガは、前半部分は主人公トルフィンの物語がメインになります。
ヴァイキング最強と謳われた父トールズを失い、その復讐のために仇敵アシェラッドの船員になるトルフィン。
この仇敵との不思議な同居も、それがヴァイキングの世界でなければリアリティを失っていしまいそうなところですが、この世界観では十分に納得し得るものになっています。

トルフィンの復讐心はすさまじいものですが、それでもなおヴァイキングの戦士としてあろうとする姿に、父トールズへの思いとの葛藤があって、胸を打たれます。
また、同時にイングランドという大きな世界観を舞台にした各々のキャラクターの物語が展開されますが、どのストーリーもそれを動かすキャラクターがしっかりしているので、楽しめる。
このストーリー性の高さは、ヴィンランド・サガという漫画の、まさに「おもしろさの軸」になっているものです。

(出典:©ヴィンランド・サガ)
傍から見たら超戦闘力のぶっとんだ怪物ですが、こう見えてヴァイキングとしての筋は誰よりも通っているし、とにかく見ていて飽きないキャラクターです。
あと戦闘シーンがマジでホントぶっとんでていっそのこと爽快感を覚えます。


③人間の心理描写が卓越している
かの有名な宇宙系SF漫画『プラネテス』を生み出した作者なだけあって、本当にもう人間の心理描写が神がかっています。

\プラネテスが見れる動画サイト/
この人間という生き物を描く技術の高さが、キャラクターの魅力にもストーリーの魅力にも繋がっていて、作家としてもとても勉強になります。
- 復讐心という振り切れた人間の感情
- 家族や仲間との情
- 自分の罪に対する葛藤
派手な感情からうまく言葉で言い表すことのできない微妙な感情の変遷まで、本当に見事に描かれている漫画です。
まとめ:ファンタジーが好きな人にも読んでほしい漫画
歴史物、時代物、昔のヨーロッパを舞台にした漫画が好きな人にはもちろんのこと、
- ファンタジーが好き
- 戦記が好き
そんな人にもぜひすすめたい漫画です。
あと、これから自分でファンタジーを書こうと思っている人は、絶対に参考になるので読んでみてください。
ヴィンランド・サガは、世界史の持つファンタジー性と、確固たる人間のリアリティが描かれた、まさしく傑作と呼ぶべき漫画だと思います。