【利点】創作手段に小説を選ぶべき4つの理由
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やあ、葵です。(@Aoi_Yamato_100)
現在、世の中にはいろいろなエンターテイメントのメディアがありますよね。
- 映画
- アニメ
- マンガ
- 小説
- 動画
そんな中、唯一「絵がない」(※補完的な挿絵は除く)メディアが小説です。
はじめて「自分で物語が作りたい」と思った人に対しては、わたしは自信を持って「小説がおすすめ」と言うのですが、
- プロの作家として生活していく
- ビジネスにできるか
という観点で考えると、少し話が違ってきます。
というのも、現代のエンターテインメント事情において「絵がない」ことは大きなマイナスポイントだからです。(だからこそ挿絵を書いてくださる人に対する感謝がはかりしれない)
テレビ広告やインターネット広告を見ればわかるとおり、基本的に人に情報を認識させたい場合は映像(絵)が使われます。
人は情報の9割近くを視覚に頼るとも言われていますし、受動的に情報を受け入れられる映像(絵)はとても威力があるのです。
さて、そんな中で唯一主戦場を「文字」とする小説は、はたしてこれから生き残っていけるのでしょうか。
わたし自身、このあたりで小説の強みをちゃんと再認識しておかないと作品がほかの近代メディアにジェノサイドされる気がしたので、私見ながら考察してみようと思います。
ちなみに
下記の記事で実写映画の持つ表現の幅の違いについて小説と比較してみたので併せて読んでみてください。

小説というメディアの強み(メリット)
まず、わたしなりに考える「小説」のメリットをあげていきたいと思います。
- 1冊の中にたくさんの物語を込められる(コストパフォーマンス)
- 慣れると生産スピードが速い(生産性)
- 時間の表現がしやすい(文章の特質)
- 想像力をかきたてることができる(絵がないことの強み)
パっと出てくるのはこのあたりですが、創作する側への利点としてさらにいくつかあります。
今回はエンターテンメント業界においての小説という立ち位置の利点についてなので、そのあたりは割愛します。
①.1冊の中にたくさんの物語を込められる(コストパフォーマンス)

最大の利点がこれだと思います。
小説は、そのすべてを文字で表現します。
文字の大きさや行の数については製本の関係で上下しますが、マンガなどと比べると見開き1ページに込められる情報は多いでしょう。
それが長編になるとおよそ300ページ。
同じ300ページでもマンガと比べると込められている物語の濃度が違います。
もちろんマンガも絵によってさまざまな情報を補完できますが、くわしく書こうと思えば思うほど余白は足りなくなりますし、コマ割りの関係で本当に見せたい場面の邪魔になってしまうこともあります。
その点、小説は文字オンリーのため融通が利きやすいです。
1冊で長く深く楽しめるというのが小説の大きな利点です。
②.慣れると生産スピードが速い(生産性)

小説は、最初こそ速く書くことに苦戦するかもしれませんが、慣れればずいぶん速く書けるようになります。
もちろんこれはマンガなどにも言えることだとは思いますが、少なくとも撮影が必要な映画よりは間違いなく速いです。
かの「化物語」などで知られる西尾維新先生は、一日でおよそ25,000字を書くとどこかのインタビュー記事で読みました。
長編小説がおよそ10万~12万文字前後なので、単純計算すると4日で長編小説が一冊書き上がるわけです。(バケモンかよ)
ほかにも巷で崇敬を込めて「書く機械」と呼ばれている作家さんなどは、とてつもない生産速度で濃厚な物語を生み出します。
その点から考えると週刊連載をしているマンガ家さんも超人だと思いますが、時間単位で生産できる物語の濃度は間違いなく小説家が一番だと思います。
そういった点からも、時間対効果の高い小説は、十分メリットのある表現媒体だと思います。
③.時間の表現がしやすい(文章の特質)

マンガや映画などの絵があるものは空間の表現がしやすいです。
- どこにいるか
- 誰がいるか
- どういう間合いか
一方、小説は空間の表現がとても苦手です。
そのほとんどを文章に反応した読者の想像力にゆだねるからです。
どこかの部屋にいるにしても、その部屋の状態は一定ではないでしょう。
文章中に書かれた小物の描写などで一定の方向性こそ同じになっても、絶対に一律ではありません。
「そこは荘厳な城の中のようだった」
「荘厳な城」と言われてどんな城を思い浮かべたでしょうか。
- 大理石が敷き詰められてて黒光りしてる家具とか赤い絨毯とか敷いてありそうな城
- モスクのような宮殿様
- サグラダ・ファミリアのような城
ほかにも人によっていろいろな「城」のイメージがあるでしょう。
このように、文章による表現は読む人の知識量や頭の中にある記憶の質に依存するのです。
一方で時間の表現は小説が得意とするところ
一方で、時間の表現は小説の得意とするところだと思います。
絵で表現するにはキャラクターを成長させたり、周りの建物を風化させたり、とにかく大きな転換が必要になりますが、小説なら――
「3年後、再び彼らは出会った」
とでも書いておけば読者は自然と「3年後」を思い浮かべます。
そのあとに人物が少し老けたとか、背が高くなったとか、文章でちょっと説明すれば自然と違和感なく時間の流れを表現できるのです。
主人公の一生を描く物語であれば、この特質から、誕生から死ぬまでの物語を一冊に収めることもできます。
これは①の「1冊の中にたくさんの物語を込めることができる」というメリットにも通ずるところですが、時間をうまく操ることでより深い体験を提供できるのが小説の強みの一つです。
④.想像力をかきたてることができる(絵がないことの強み)

メリット③で少しお話してしまいましたが、この「想像力をかきたてることができる」というのが文章であることの強みになります。
絵があると読者のイメージはそこで固定されます。
それは風景だったり、人の造形だったり、いろいろありますが、読者によっていろいろな捉え方ができるというのは、絵がない小説の強みであり弱みでもあります。
この想像力というのは小説の最大の友人であり、なにかと作品のおもしろさを手助けしてくれるものです。
使いこなすにはそれなりに技術が必要になりますが、使いこなせるようになったときあなたの小説はより濃密でおもしろいものになるのは間違いないでしょう。
なんかそれっぽい描写しとけば補完してくれるのも強み。

おい
ただ、なんでもかんでも読者の想像力に委ねたのではほんわりと宙に浮いてどこにいるかよくわからない小説ができてしまうので、節度を持って使ってあげると良いと思います。
まとめ:小説の強みはたくさんある
と、いくつか小説であることのメリットをあげてみましたが、ほかにもいろいろなメリットがあると思います。
もちろんデメリットもありますが、デメリットも知っておくと小説の強みを活かせるようになるので知っておくと良いでしょう。
- 小説は1冊に込められる物語量が多い
- 小説はほかの媒体より生産性が高い(早い)
- 小説は文章の強みを活かしてなんぼ
逆に小説を書く時に注意すべき『弱み』についても別の記事で解説しているので、ぜひ読んでみてください。
