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百魔の主/漫画版

創作研究室(カテゴリー別)
葵大和
ライトノベル作家
カドカワBOOKSから『百魔の主』というファンタジー戦記小説を刊行しています(既刊6冊)。またコミカライズ版が秋田書店のweb漫画サイト『マンガクロス』にて連載中です。執筆歴は15年。最近はブログ書いたりもしています。うんち。
出版作品(小説/カドカワBOOKS)

百魔の主/葵大和

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【考察】鬼滅の刃の面白さを分析してみた【人気の秘訣や良さは?】

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やあ、葵です。(@Aoi_Yamato_100

アニメがはじまった鬼滅の刃(きめつのやいば)が今とても熱いですね。

かくいうわたしもKindleで全巻購読しています。

アニメも戦闘シーンがぬるぬる動くのでVODサイトでそのうちしっかり見直そうかなと思っているところですが、今回はそんな大人気な『鬼滅の刃』の面白さについて思うところをまとめてみようと思います。

言い方はアレだけど、鬼滅の刃ってほかの最近の売れ筋マンガと比べてもちょっと特殊な売れ方をしているなと思う。

この記事の著者について(葵大和)
葵です
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鬼滅の刃がおもしろい【キャラの良さとストーリーテンポがミソ】

物語の冒頭はスピーディ・テンポが良い

最初に鬼滅の刃1巻を読んだときに思ったのが、

展開がはええ!

です。

とはいえ、展開が早くてもストーリーのスジはかなりわかりやすくなっています。

  1. 主人公(炭治郎)の日常が鬼の襲来で壊れる
  2. 唯一生き残ったが鬼になってしまった妹(禰豆子)を守る決意をする

かなりおおざっぱにまとめるとこの2点が鬼滅の刃のストーリーの根本です。

このあたりの展開の早さは最近の王道をしっかり踏襲しているなぁ、という印象。

主人公(炭治郎)の動機づけがシンプルで明確

鬼滅の刃の主人公・炭治郎の動機は非常にシンプルです。

上記でも説明したように、鬼になってしまった妹・禰豆子を守る&人間に戻すことに一貫しています。

一応、家族を惨殺した鬼を討つことも目的の一つにはしていますが、二つが天秤にかけられたとき炭治郎は禰豆子を優先するでしょう。

実際そういう描写が作中で何度も見られますし、18巻続いている中でもブレることはありません。

このあたりの一貫性は読者がキャラクターの人間性を理解するのに非常に役立っていると思います。

家族愛と復讐譚の良いところを取り入れている

炭治郎の禰豆子に対する愛。

鬼になってもなお炭治郎を守ろうとする禰豆子の家族愛。

こういったものが鬼滅の刃の中ではよく見られます。

どれだけ青臭かろうと、やっぱり家族愛や友情のような、人と人との尊い関係性は読者の感情を動かしやすいものです。

それと同時に、炭治郎の鬼に対する復讐譚としても物語が成り立っています。

言うなれば、人間の正と負の感情のMAXを同時に成り立たせているわけです。

これは読者の感情を揺り動かし、夢中にさせるにはこれ以上ない要素だと思います。

簡単にやっているようだけど、これって意外と難しい。

ややもすれば家族愛は「きれいごと」になりかねないし、復讐譚は「茶番」になりかねない。

どちらにも「本気」を滲ませるバランスの良さと、描写でそれを見事に折衷(せっちゅう)する力が鬼滅の刃のすごさでもある。

炭治郎の成長物語としての楽しさ

もちろん、鬼滅の刃にはジャンプらしい主人公の成長物語も垣間見えます。

主人公が強くなっていく楽しさはいつの時代でもワクワクするものです。

また、和風ものとして刀が出てくるのも良いですよね。

あくまで日本国内で完結している物語なので、ナショナリズムとかはそこまで関係ないかなと思いつつも、

葵大和(狐面)

/刀が出てくるとワクワクしちゃう!\

これはロマンなので仕方がない。

応援したくなる炭治郎の主人公性

炭治郎は、昨今の人気ライトノベルによく見られるような、自己感情移入型(同一型)の主人公ではありません。

どちらかというと、主人公を応援したくなるような、共感型の主人公だと思います。

これは小説とマンガの読者視点の違い(入り込むor俯瞰で見る)もあるとは思いますが、一方で炭治郎自身に強烈なキャラクター性(人格)があるというのも理由でしょう。

キャラクターの絵を見ながら物語を追うという行為が、そもそもとして俯瞰的な視点を持ちやすいので、こうしたキャラクター性の強さはマンガと相性がいいと思います。

逆に主人公の快感と読者の快感を直接結び付けるような同一型の主人公はマンガだとちょっと工夫が必要かな、とも思う。

ある程度話が進んでからも急展開は結構ある

鬼滅の刃はある程度話が進んでからもちょくちょく急展開があります。

急展開というとちょっと言い方が悪いかもしれませんが、冒頭と同じくテンポが良いことの証左です。

このあたりは最近のほかのマンガでもたまに見られるなぁ、という印象。

呪術廻戦なんかは中でも特に展開の妙が光っている気がします。

ギャグはたぶん人を選ぶ

鬼滅の刃は結構独特のテンポを持ったギャグが挟まれます。

ストーリーそのものはめちゃくちゃシリアスなんですが、こうしたギャグが入ることはプラスにもマイナスにもなるポイントです。

内容が復讐譚なだけに、そのまま行ってほしいという人もいるでしょうし、そのままだと重くて胸焼けするから日常的な話やギャグもほしい、という人もいるでしょう。

でもね、なんかね――鬼滅の刃のギャグは勢いがすごくて押し切られる。

「いやそれでいいの!?」と思ってしまうような戦闘シーンでのギャグ性(シリアスな笑い)もあるのですが、不思議とそれで押されてしまうのが鬼滅の刃の妙。

これだからギャグは難しい……

炭治郎の選ばれし者感が徐々に出る(最初はない)

炭治郎は最初、どこにでもいる普通の青年でした。

しかし、このあたりはジャンプあるある。

「ヒノカミ神楽」が出てきたあたりから、

葵大和(普通)

/あれコイツただものじゃない?\

徐々に特別性が匂ってきます。

「額のアザ」「黒い日輪刀」の話もそうだね。

このあたりの匂わせ方もまた「絶妙だなぁ」という印象。

冒頭でも「身を挺してぶん投げた斧」の件があったので片鱗は見えていたのですが、話が進むうちにどんどんと、というのが肝でしょうか。

とはいえこういう特別性の片鱗が見えることは、のちのストーリーにワクワク感を持たせるという意味で非常に有効なので、あったほうがいいですしわたしも大好物です。

ほかの登場人物のキャラクター性もしっかりしている

ここまで主人公・炭治郎のキャラクター性に焦点を当てて話をしましたが、作中に出てくるほかの登場人物もなかなかキャラが立っています。

総じて動機づけがしっかりしているなぁ、というのが印象です。

また、キャラクター同士の関係性や、その性格・動機にいたるまでの背景(バックボーン)の描写もうまくて、キャラクター性にリアリティを持たせるのがうまいと感じました。

特に善逸なんかは炭治郎に匹敵するレベルの主人公性を持ってるよね。

そう、つまりわたしは善逸が好きだ(突然の告白)。

無惨様の悪役っぷりが光る

鬼滅の刃の敵役(ラスボス)である鬼舞辻無惨が非常に良い悪役をしているのも光ります。

正義VS正義とかじゃなくて、根っからの悪役キャラです。

一説にはパワハラ上司の権化とのうわさも。

この鬼舞辻無惨がしっかりとヘイトを集めるような、ちゃんとした悪役として存在するのも鬼滅の刃のストーリーを引き締めるのに一役買っていることは間違いない。

こういう根っからの悪役キャラって意外と書くのが難しいんだよね……

まとめ:要素を分解すると鬼滅の刃の人気の秘訣が見えてくる

かなり細かい部分もありますが、こうして一つ一つ作品の中で見える要素を分析してみると、鬼滅の刃のいろいろな人気の秘訣が見えてきます。

けっしてものすごく絵がうまいとかではないのですし、展開もたまに雑に見えたりすることもあるのですが、それを圧倒的に上回るストーリーやキャラクターの強さでどんどん読者を引きこむのが鬼滅の刃の特徴だと思います。

真似しようと思ってもなかなかできないやつだよこれ。

とはいえ、全部を同じバランスで取り入れることはできなくても、面白さの要素を分析して取り入れることはできると思うので、今回の話で「たしかにここはそうだなぁ」と思う部分があればぜひ自分の作品にも活かしてみてください。

そんなわけで結論。

葵大和(狐面)

/鬼滅の刃おもしれえ\

ではな!

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