
やあ、(百魔の主を書いている)葵です。(@Aoi_Yamato_100)
漫画を読んでいて、いやおうなく才能やセンスを感じるときがある。
そういうものはキャラクターの台詞回しに現れます。
で、最近読んだ『呪術廻戦』(じゅじゅつかいせん)が「このセリフ回しは……すごいな」と思わず息をのむくらいすごかったのでご紹介します。
台詞とバトルに痺れる超面白い漫画【呪術廻戦】
あらすじ
常識離れした身体能力を持つ高校生・虎杖悠仁(いたどりゆうじ)。
彼の学校で特級呪物と呼ばれる「両面宿儺」の指の封印が解かれるところから話がはじまる。
呪物の解放にともない、さまざまな呪いたちが跋扈(ばっこ)する中、死んだ祖父の言葉を胸に、そのたぐいまれな身体能力で同じ学校の先輩たちの救出に向かう虎杖だが――
とにかくセリフのキレが半端じゃない
これはわたしが作家だからというのもあるでしょう。
でも、本当のこの作品のキャラクターたちから発せられるセリフのひとつひとつに、「この台詞はすごいな……」と息をのみました。
難しい心理を的確に表現しているし、ウィットに富んだなにげないセリフ回しも秀逸。
ジャンプという少年誌の作品ではありますが、青年向けでも十分に通用すると思うし、むしろ年を重ねているほうがそのセリフのおもしろさがダイレクトに心に響くと思います。
実際にセリフを挙げてみる
個人的にズビシッ、と来たのをいくつか挙げてみます。
生き様で後悔はしたくない
飯食って、風呂入って、漫画読んで
ふと気持ちが途切れた時
「あぁ今宿儺のせいで人が死んでるかもな」って凹んで「俺には関係ねぇ」
「俺のせいじゃねぇ」
って自分に言い聞かせるのか?そんなのゴメンだね
自分が死ぬ時のことは分からんけど「生き様で後悔はしたくない」
(出典:呪術廻戦1巻)
一連のセリフの流れがすばらしい。
虎杖というキャラクターの個性を決定づけた完璧な1ページ。


俺は不平等に人を助ける
少しでも多くの善人が
平等を享受できる様に「俺は不平等に人を助ける」
(出典:呪術廻戦2巻)
同じ高校生ながら、主人公より先に呪術師として戦ってきた伏黒恵というキャラクターが発した台詞。
呪いたちの跋扈する危険な戦場で、現実を直視しながら、それでも最低限の理想は捨てないという伏黒の葛藤と覚悟が伝わってきます。

寝不足か?毛穴開いてんぞ
(出典:呪術廻戦3巻)
メインキャラクターの中で唯一の女性キャラ釘崎野薔薇のウィットに富んだ煽り台詞。
野薔薇は本当に良いキャラクターです。
女性でありながら男前で、信念もあって、たまに見せる女性らしさの片鱗みたいなのもあって――

失礼だな。純愛だよ
(出典:呪術廻戦0巻)
こちらは本編ではなくその前日譚にあたる呪術廻戦0巻の台詞。
わたしはこれが一番好きな台詞かもしれません。
0巻もめちゃくちゃ面白く、一つの巻できれいに収まっているので、まだ読んだことがない人は絶対に読んだほうがいい。
本編でも名前が挙がってくる乙骨というキャラクターが主人公で、もしかしたら本編でも今後登場する可能性があるので、要チェック!
呪術廻戦のセリフは、それぞれ単体でも秀逸ですが、そこにいたるまでの流れが無駄がなくかつ完璧なリズムで持っていった、という感じなので、ぜひ読んでみてください。
ストーリーテンポがとても良い
呪術廻戦をはじめて読んだときに思ったのは、「今風のものが出てきた」でした。
とにかく展開が早い。テンポが良い。
作者的にホントはもっと書きたいものがあるけど、読者のために可能なかぎり削りを行っている。そんな印象です。
2019年8月現在、本編6巻+前日譚外伝1巻+小説版1巻となっていますが、書きたいもの全部書くと2倍くらいになりそうだなぁ、というのが個人的な感想。
小説と漫画でやり方は少し違いますが、可能なかぎり無駄を省いて、本当に必要な部分だけを描くというのは同じです。
ある程度人気が出た作品ならまだしも、はじめたばかりの作品においてはいかに先へ先へ読ませ、作品世界を定着させるかが重要で、最近は特にそういうリズムやテンポの良さが重視されている気がします。
呪術の説明なんかもっと長くやりそうなところを実に端的かつ的確に書かれていて、作家としても勉強になりました。
小説版はコチラ!
キャラクターが立っていて面白い
「セリフが良い=キャラクターが良い」とほぼ同義なので、キャラクターもとても良いです。

絵で言えばけっしてすごくうまいというわけではないものの、前述のセリフやキャラごとの設定の良さでかなり読みやすくなっています。
呪術廻戦はマンガなので、誰が誰だかは基本的に絵ですぐわかりますが、仮に絵がなくなっても能力やセリフですぐに誰だかわかると思います。
まとめ:呪術廻戦は今後も面白くなることが期待できる
youtubeにカラーPVがあるので併せて見てみてね。
どこまで面白くなるのか期待しかない
今現在はまだ6巻程度なので、早いテンポで世界を広げている最中ですが、これが十分に進んで土台がしっかりできたとき、そのセリフの鋭さでどれほどの圧倒的なシーンが描かれるのかが楽しみです。
描けば描くほどキャラクターや世界観に深みが出て、そこで描かれるシーンに熱量が増します。
すでに一冊の中で「うおお……!!」となるシーンが書ける構成力があるので、10巻とかになってきたとき、いったいどれほどの鳥肌を立たせてくれるのか。
今後がとても楽しみな漫画です。