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百魔の主/漫画版

創作研究室(カテゴリー別)
葵大和
ライトノベル作家
カドカワBOOKSから『百魔の主』というファンタジー戦記小説を刊行しています(既刊6冊)。またコミカライズ版が秋田書店のweb漫画サイト『マンガクロス』にて連載中です。執筆歴は15年。最近はブログ書いたりもしています。うんち。
出版作品(小説/カドカワBOOKS)

百魔の主/葵大和

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『小説家になろう』におけるテンプレートについて

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やあ、葵です。(@Aoi_Yamato_100

『小説家になろう』の作品、読んでますか?

わたしは個人サイト時代からのユーザーなので、かれこれだいぶ『小説家になろう』とは付き合いが長いのですが、実は最近はあまり作品を読んでいません。

いったいいつぐらいから読んでないかというと、『百魔の主』を書籍化したあたりからです。

逆にいうと、その前まではよく日刊ランキングなどを読んでました。

さらに前は日刊ランキング以外のものも読んでいました。

読まなくなったのには理由があって、それがいわゆる『小説家になろうのテンプレ』と呼ばれるものにあるので、最近のなろう情勢も含めてちょっとお話します。

この記事の著者について(葵大和)
葵です
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『小説家になろう』におけるテンプレとこれまでの歩み

小説家になろうは、もともと個人運営の小説投稿サイトで、今でこそ多くの小説投稿サイトがありますが、いわゆる先駆けにあたるものとして存在しました。

当時はまだ作品数も少なく、思い出すとあんな作品あったなぁとかいろいろあるわけですが、まあ今ほど出来が良い作品は多くなかったと思います。

二次創作とか多かった気がする。

それが次第に「ネット小説におもしろいの結構あるぜ」みたいになって、ネット小説からの拾いあげ出版なんかが流行り出してから、どんどんと作家になりたい人が集まって、作品もうなぎ上りになりました。

もちろん完全に趣味で投稿している人もいると思いますが、小説書いて投稿するくらいだから少しは「もしかしたら本になるかも」と思っている人は多いはずです。

ともあれ、そんなこんなでどんどん書籍化、出版の流れが大きくなって、ついにはベストセラー化と呼ぶべきものも現れ、今ではアニメなんかもとても多くなりましたね。

夢があるな。

夢を抱けるのは良いことさ。

書籍化の流れが強くなってから、徐々にテンプレが増えた

書籍化というのは、簡単にいうと出版社が「これおもしろい」「これは売れそうだ」という見込みを立てて、すでに公開されている『なろう』の小説を紙の本にすることです。

出版はビジネスなので、基本的に「すでに人気のあるもの」「売れそうなもの」を選びます。

で、小説家になろうでは、作品の増大に伴って多くの読者が流れ込みました。

そうすると、徐々にマジョリティに好まれる作品の傾向というものが現れはじめたのです。

代表するものが異世界系(転生/転移)ですね。

しかし、単に異世界系といっても、そもそも異世界に行くファンタジーな話なんてライトノベル黎明期の時代からあったわけで、いやライトノベルに限らずファンタジーならいくらでもそういうものが存在しました。

小説家になろうにおける異世界系の人気は、もっと細部、そのストーリーと設定の構造にあるのです。

神様転生/トラック転生

トラックに轢かれて死亡した主人公が、死後の夢の中で神様に出会い、特異な力を与えられて異世界に転生する。

これが転生モノの最盛期のパターンだったと思います。

あまりにそういうものが濫造されたため、「トラック転生」なんて揶揄されたりもしましたが、本質はそこではないのではないかとわたしは思います。

転生までの経緯はどうあれ、

  • 棚ぼた的に特別な力を手に入れ
  • 誰も自分を知らない世界で無双する

これがパターンの本質で、テンプレートと呼ばれる物語構造だと思います。

逆に言うと、この要素さえ組み込まれていれば、転生の理由がどんなものであれ読者はあんまり気にしないということの証明でもあるように思うのです。

読者と一括りにしてしまいましたが、もちろんそうでない人もいることは重々理解しています。※かくいうわたしもそうです。

飽きられても次のテンプレが現れる

このトラック転生のほかにも、『ステータスによる能力の可視化』や、動機付けとして役に立つ『主人公はぶられ』など、いろいろな補足的テンプレが流行りました。

とはいえ、もちろんそればかりではさすがに読者も飽きます。

そうすると別のテンプレの潮流が現れるのです。

今までのテンプレとちょっと違う。

あるいは、本質は同じだが少しひねっている。

「お、この作品はなんか違うぞ?」と読者に思わせればあとはページをめくらせるだけ。

基本的に小説はいかにして冒頭を読みきらせるかにかかっているので、良い意味でひねりを加えるのはとても効果的です。

それでも本質は同じ

そうやって小さな流行りが生まれては消えるわけなんですが、やっぱりマジョリティに好まれるものの本質は同じで、結構『古き良きテンプレ』に戻ってくることが多いです。

目が肥えた人にとっては「もういいや」となっても、そうでない人にとってはやっぱり新鮮で、テンプレになるような普遍的な面白さがあるのだから当然多くの人に好まれるわけです。

テンプレが合わないと『なろう』はちょっとキツイ

わたしが小説家になろうの作品を読まなくなった理由は、もちろん当時書籍化の作業で忙しく、あまり読んでいる暇がなかったというのもありますし、同時に、影響を受けやすい自分を考慮してのことでもありました。

わたしは「ネットから書籍化できたらいいなぁ」と思っていた人間のひとりなので、書籍化ブームの当時は「どういったものが書籍化されるのか」を学ぶためにランキングをよく見ていました。

もちろん自分にとっておもしろい作品もありましたし、逆に「これは合わないなぁ」というものもあります。

でも、合わないものも「書籍化」のことを考えると「どこが人気の秘訣なんだろう」と読む理由があったので、ちょくちょく読みました。

正直、今のなろうはそういったテンプレが合わない人にとってはちょっと読みづらいかもしれません。

いまだに書籍化のブームはやんでおらず、アニメ化などで認知度が高まったことで読者の流入もとても増えました。

結果、やっぱりなろうではテンプレが繰り返されます。

昔からなろうに親しんできた層と、新しい層の人口の比率も気になりはしますが、現実として昔ながらのテンプレ要素が入った作品がやっぱり人気が出るのです。

まとめ:テンプレが流行ること自体は悪いことばかりではない

純粋な読者からすれば、「またか」という思いもあるでしょう。

ただ、人気が出るものには相応の理由があります。

テンプレが流行るということは、そこに読者が求めるおもしろさの要素があるのです。

「この作品もほかのと似通ってるなぁ」と思ったら、そこに共通する要素を抜き出して、本質を探してみてください。

自分の書きたいものが確固としてある人にとって、なろうのテンプレの風潮は追い風に逆風にもなります。

なろうの潮流と自分の書きたい作品が合致していれば必ず追い風になります。

でも、その潮流に逆行していたら別の投稿サイトを探すか、あるいは「俺が新しい流れを作る」というくらいの覚悟をもって進めたほうがいいと思います。

新しいことをしてやろう、という気概そのものは持つべきですが、なろうの強みを生かして「書籍化しよう」と思っている人にとっては相当いばらの道であることも覚悟してください。

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