『ONE PIECE(ワンピース)』が何故こんなに人気なのか総合的に分析してみた
やあ、葵です。(@Aoi_Yamato_100)
『ONE PIECE』(ワンピース)と言えばもはや聞いたことがない人がいないような超・ウルトラ・ハイパー人気漫画ですね。
今回はこのワンピースに関して、
- 『どうしてここまで面白く感じるのか?』
- 『なぜこんなに広く人気なのか?』
という観点で作品を総合的に分析してみました。
曲がりなりにもエンタメ作品を世に出した人間として、ここが良いと思うところを片っ端から挙げていきます。
これから漫画・小説・映画など、なにかしらのエンタメ作品を生み出したいと思ってる人にはヒントが見つかるかもしれません。
私自身の備忘録として隠すことなく勝手に分析しまくるので、なんらかの気づきの足しにしてもらえればと思います。
タップできる目次
『ONE PIECE』はどうしてここまで人気なのか?
主に、
- ストーリー
- キャラクター
- 設定/世界観
- メディア的視点
こんな感じで各項目別に要素を上げていきます。
また、基本的に【面白さとはなにか?】ということに関して、以前に私は一定の見解を出しているので、その分析項目を元にしながら話を進めます。
余裕があればこちらも一緒に読んでみてください。
人が『面白さ』を感じるのはどんな時か?【論理的に分析してみた】
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『ONE PIECE』のストーリーに関して
というわけで早速ストーリーから。
これだけ大人気な漫画なので、いろいろ『面白さ』の要素はありますが、一言でいうとワンピースはとても王道なストーリーを持っています。
物語の目的が決まっている
ワンピースは、主人公であるルフィが海賊王になるために冒険する物語です。
『仲間を集める』や、海賊らしく『財宝を探す』などの小目的もありますが、そのすべての根底にあるのは『海賊王になる』こと。
物語の終着点(目的)がハッキリしているため、すべての話が『海賊王』という単語を軸に進行します。
そもそも海賊王ってなんだ?
そんな疑問も湧くかもしれませんが、その点についても『ワンピース』という財宝を手に入れた者が海賊王、というような筋書きがあるため、新しい言葉であっても輪郭がぼんやりしすぎることはありません。
ワンピースが何なのかわからない【未知のワクワク】
このゴールド・ロジャーが残したとされるワンピースという財宝が何なのかは実際のところよくわかっていません。
物語の根底に【未知の謎】があることになります。
これが実はキーポイント。
ワンピースが謎の財宝であるかぎり、物語は常に推進力を持ちます。
答えがわからない→知りたい
大目的に沿った中目的のストーリー
一方で、この『謎』があまりにも遠すぎると求心力を失いますが、ワンピースではその途中で様々な別ストーリーが間を繋ぎます。
そういう一つ一つのストーリーが折り重なって、徐々に重厚な世界観を構築していく。
もちろんこれらの中目的のストーリーそのものが面白いこともありますが、根底にある大目的が常に物語を支え続けるので、進む方角に対する推進力が常に存在し続けるのも強み。
大きな観点で見た時に遅々としていても、けっして止まってはいないというのがポイント。
友情や家族愛など、万人に受け入れられる感動
ワンピースでは仲間や家族愛などの人間関係をテーマにしたストーリーが無数にあります。
こういったテーマは、どれだけ使い古されようともけっして錆びることはありません。
人間という生物が、根本的に『何かに所属したい』『誰かと結ばれたい』という欲求を抱く生き物である限り、けっして廃れることのない王道であり続けます。
このあたりはマズローが指摘した欲求5段階説を参考にしてね。
仲間との友情や清々しいライバル性、そういった王道のテーマがしっかり詰まっているのが、より多くの人に受け入れられる理由の一つです。
主人公たちへの期待感(最後には勝ってくれる)
ワンピースにおいては、主人公たちが問題に直面しても、最終的に彼らならそれをなんとかしてくれるだろうという期待感があります。
ストレートな言い方をすると、ルフィたちは必ず最後には勝ってくれる。
そういう無意識化の安心感が存在しているのもワンピースのストーリーの良いところ。
もちろんそうでない部分もたまーにあったりしましたが、それでも9割方は主人公たちが勝ちます。
これも万人受けするにはとても重要なこと。
『ONE PIECE』のキャラクターに関して
次にワンピースにおけるキャラクターについて分析していきます。
ストーリーと似た切り口の部分もありますが、よりキャラクターの在り方に注目して説明していきます。
主人公やメインキャラクターの動機(目的)が明確
とにもかくにもこれ。
主人公ルフィをはじめとして、剣士ゾロやコックのサンジなど、各メインキャラクターの動機(目的)がとてもハッキリしています。
- ルフィは海賊王になりたい
- ゾロは世界一の剣士に
- サンジはオールブルーを見つけたい
キャラクターの動機が明確なことで、そのキャラクターがどんな人間なのか、輪郭がハッキリします。
すごく当たり前のことですが、これがなによりも重要。
動機が明確なことはキャラクターのリアリティにも繋がります。
もちろん各自の目的がかぶっていないのも良いね。
動機の背景もしっかりしている
また、これらのキャラクターの動機に関して、それぞれ背景(バックボーン)がしっかりしていることも特徴です。
- ルフィが海賊王を目指す理由はシャンクスとの出会いから
- ゾロは少年の時の親友との約束から
- サンジもまたその壮絶な過去から
厚く深い物語や生き様が背景にあって、彼らが各目的を抱くのにまったく違和感がありません。
こういったキャラクターの衝動(欲求)に対して、読む人が思わず納得するようなストーリーがほぼすべてのキャラクターに対して設定されているのがワンピースのすごいところ。
魅力的なキャラクターを描く時はぜひ参考にするべきポイントです。
魅力的なキャラクターの作り方!2つのステップを実例付きで解説
魅力的なキャラクターが作りたいけどどうにもしっくりこない。 本記事ではそんな悩みを持った人のために、「魅力的なキャラクターってどんなもの?」という説明から、「…
女性キャラが大抵ナイスバディ
馬鹿みたいに思うかもしれませんが、これもかなり重要です。
ワンピースに出てくる女性キャラはたいていナイスバディです。
そのうえ美人だったりかわいかったり、とにかく男性が憧れるような女性キャラクターであることが多い。
これも【人が面白さを感じるのはどんな時か?】の記事で書きましたが、エロは偉大です。
少年誌なので露骨なエロではありませんが、そのあたりを彷彿とさせる素晴らしいフォルムであることは確実にワンピースの人気の一つに入っています。
薄い本の数がそれを証明ゲフンゲフン。
各自になにげない弱点がある【親しみやすさ】
各キャラクターになにげない弱点があることもポイント。
- ルフィなら後述する悪魔の実による【金づち】
- ゾロは極度の方向音痴
- サンジは女に弱い
- ナミは金に弱い
こういった弱点は、むしろキャラクターの親しみやすさの一因になります。
すごい人物だけど、実はこんな普通なところもある。
すべてが完璧の超人は人間味が薄くなりがちです。
すぐそこにいそうな親近感(親しみやすさ)を抱いてもらうのに、こういったなにげない弱点というのはとても重要。
『ONE PIECE』の設定/世界観に関して
次にワンピースの舞台設定や世界観について分析していきます。
普通の人がなれない『海賊』がテーマ
ワンピースは海賊たちの物語です。
今、この時代を生きる普通の人間は海賊にはなれません。
この、普通ではできない生き方を疑似体験させてくれる装置として、海賊というのは夢があります。
大海原と冒険の自由
また、海賊が連想させてくれるイメージに『自由』があります。
何物にもとらわれず、自由に大海原を行く。
行く先々で貴重な体験をし、人と出会い、心地良い物語に触れてまた旅に出る。
誰もが憧れるような夢の体験を、ワンピースは体現しています。
この『読者の夢を代替して叶えてくれる』舞台設定は、強い求心力を発揮します。
誰でもなれるような身分をテーマにしていたら貴重性はないし、今の自分になれないけどちょっと気になる身分、というのがエンタメ性をすでに内包している。
日々残業に追われ、なんの変化もないありきたりな日常を送るサラリーマンの生活なんて体験したくないよね。
一言でいうとロマンがある。
これとても重要。
悪魔の実という象徴的アイテム
ワンピースには悪魔の実という象徴的なアイテムが出てきます。
その実を食べることで超常的な力を得ることができる食べ物です。
- 『ゴムゴムの実』だったら全身ゴム人間に。
- 『メラメラの実』だったら全身炎を自在に操れる人間に。
こういう感じで、各悪魔の実につき特徴的な能力がキャラクターに付与されるのもポイント。
- ゴムだったらルフィ
- 炎だったらエース
などのように、キャラクターの特徴づけにも使える。
わかりやすさ、覚えやすさという点でこういった『一人につき一つの特殊能力』はかなり有効。
悪魔の実の名前が能力と合致してるのも良い。
さらに言うなら、その名前が象徴的な擬音語や擬態語であることもまた良い。
言いやすい上に覚えやすい。
悪魔の実に副作用があるのも良い
この悪魔の実に「食べると泳げなくなる」という副作用があるのもとても良いところ。
もちろんこれがなくても良いアイテムであることに変わりはありませんが、副作用があることでキャラクター付けにも使えますし、より異質性が強まります。
また、悪魔の実を食べる時のドキドキ・ハラハラ感、適度な緊張感の付与にも一躍買って出ている感じ。
金や財宝のように、「多ければ多いほど良い」と単純に言えないところに、作中キャラクターでも認識の幅が生まれる(多様性・考え方の違いの提示)。
『すごいアイテムだけど俺はいいや』というキャラもいれば、『いくらでも食いたいぜ!』というキャラもいる。
くそっ、悪魔の実すごすぎる。
地味にネーミングも抜群。
悪魔の実て。
そんなんワクワクするに決まってる。
やや中二病的な香りがするのも個人的にはグッドだと思う。(ロマン)
男はいつまでたっても中二病。
そう見えないやつは隠してるだけ(極論)
『ONE PIECE』のメディア(媒体)に関して
ワンピースが漫画であることにどんな意味があるのかを分析していきます。
絵があるからこそのキャラクター数
ワンピースはとても長い物語です。
当然登場人物も膨大な数になります。
正直、これを文字だけの小説で表現しろと言われたら血の気が引くレベルです。
たぶん発声者の区別や動作したキャラの区別のための外見描写だけで3万文字くらい使えそう。
このワンピースのキャラクターの多さは、イラストのある漫画だからこそできる芸当です。
キャラクターが多ければそれだけたくさんの関係性(物語)をわかりやすく詰め込めます。
そのうえで笑い声などに特徴づけを行っている
さらにワンピースは各キャラクターが特徴的な笑い方をします。
これはイラストによるキャラクターの区別に加えて、文字としての区別にも繋がります。
意図的であるにしろそうでないにしろ、読む人にとても親切だなぁと感じる。
ワンピースはキャラの書き分けがとてもうまい漫画でもありますが、それでもここまでたくさんのキャラクターが現れると似た人物は出るものです。
さらに言えば、忘れられてしまうキャラクターも出てくる。
しかし、再登場した時にハっと「ああ!あいつか!」とすぐに記憶を呼び起こせるインパクトが特徴的な笑い声によってなされる瞬間があります。
このあたりは絵もあり文字もあるメディアである漫画としての強みを最大限に活用しているという印象。
やっぱり漫画って総合芸術なんだなぁと思う。
まとめ:ワンピースの面白さのエッセンスは本当に多岐に渡る
さて、ここまで思いついたかぎりのワンピースの面白さや書き手視点から見た『すごさ』のようなものをお話ししました。
ワンピースはストーリーが王道なだけでなく、キャラクターや読み手への配慮に関しても超王道です。
王道というと簡単に聞こえますが、ここまで丁寧に王道的エッセンスをちりばめる総合的な構成力がなによりも脅威。
人気作品を分析することで、こういった面白さのエッセンスを見つけることができるので、『王道で面白い作品が書きたい!』と思っている人は、参考にしてみると良いと思います。