海王ダンテの面白い所を紹介するよ|史実とファンタジーの融合
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やあ、葵です。(@Aoi_Yamato_100)
ヴィンランド・サガのレビュー記事のときもお話しましたが、今のわたしたちからすると歴史はファンタジーだと思うんですよ。
で、今回は海運が発達し始めた1700年後半のヨーロッパを舞台にした漫画『海王ダンテ』のレビューになります。
この漫画は歴史モノ一直線というわけではなく、リアルな歴史の中にマジもんのファンタジーをぶちこんだ作品になるので、伝記と伝奇の要素が混じり合ったちょっと特殊な作品。
とはいえ、ぶっとんだファンタジーというわけではないし、堅実な知識の描写などもあるのでなかなか深みがある。
リアルな歴史とファンタジーな伝奇の融合作【海王ダンテ】
海王ダンテの簡単なあらすじは以下のとおりです。
18世紀、西欧列国が海の向こうに新たな希望を見いだしていた時代。
一人の、巨大な本を背負った少年が、北極点に現れた……(Amazon公式)
これをさらに噛み砕くとこんな感じ。
英国海軍がみずからの国力を誇示するために北極点を目指していた
(出典:海王ダンテ)
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ちなみにわたしはこのシーンでご飯何杯か食べられます。「くそっ、この忌々しい氷塊と風め」で2杯くらいはいけます。

変態すぎる……
ともあれこんな状況だった英国軍人たちのもとへ、一人の少年が徒歩で現れる。
ビビる軍人たち。ひょうひょうとしているダンテというその少年。
最終的にダンテの知識にあやかろうと英国軍人たちは彼を船に招き入れ、あーだこーだと一緒に北極点を目指すことに。
ちなみにこの間に行われたやり取りの中で、この主人公のダンテという少年を如実に表したシーンがあります。
ダンテの冷静さと確固たる意志がカッコイイ
それがこちらのシーン。
(出典:海王ダンテ)
いいですね。
これぞ主人公ですよ!
このシーンで一気にダンテという主人公に興味が湧きました。
こいつならなんかすごいことをやってくれそう!という凄味があります。
こういう期待感って、物語を先に読み進めてもらうのにとても重要だったりします。
満を持してファンタジー要素が出る
そんなこんなで氷ひしめく船旅が続くうち、ついにファンタジー要素が顔を出します。
それがダンテの持つドでかい本。
なんでも意志をもった本で、さまざまな超文明的な知識を備えているという。
ダンテはこの本と同じ、『生命』を司る超文明魔導書(意訳)を求めて北極点を目指しています。
理由は幼馴染の病を治すため。
そして人の手にあまるその魔導書を封印するため。
また、ダンテはこの本のほかに魔導器と呼ばれる『自分の体を犠牲にして魔法的な力を発揮する』道具を持っています。
そして実際に自分の左目やその他節々を犠牲にしてここまで生きぬいてきました。
つまり、誰かのために自己を犠牲にして前に突き進む強靭な意志の持ち主なわけです。
世界設定自体も独特でおもしろいですが、なによりこのダンテという主人公に憧れというか『なにかを成し遂げそうな』気配を感じるのが一番のポイントでしょうか。
北極編は1巻で収束する
この『生命』を司る魔導書の話は海王ダンテの1巻で終わります。
しかし、この一連の旅を経て、ダンテは軍隊に入ることを決意。
結果的に『生命』の魔導書で幼馴染の病は直りますが、生命の魔導書自体はとある男に持ち去られます。
2巻以降はこの生命の魔導書をめぐる物語になっていく、という感じ。
まとめ:適度なファンタジー要素が広がりのあるスペクタクルを表現する
このように、海王ダンテは普通の伝記系漫画とは違って適度なファンタジー要素を持ちます。
もともとある『18世紀ごろの海の物語』という軸を必要以上に壊さず、されど物語に広がりと深みを持たせるこのファンタジー要素はとてもおもしろい。
もちろん、もっと厳密なこの時代の伝記的作品が読みたいという人にとっては蛇足になりかねませんが、とりあえず1巻を読んで空気感を感じてみるのが良いと思います。
余談:ファンタジー要素はいらないって方は
ちなみに「もっと伝記伝記してるのがいい!」という方にはヴィンランド・サガがおすすめ。
